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6 初めての体験

 口角から何方ともなく涎が垂れる。いつまでこんなキスをしているのだと朦朧とする頭で考えていると、うっとりした瞳の智と目が合った。 「俺だって初めてなんだからさ……いきなりそれ、挿れるのは勘弁してよ」  そう言って照れ臭そうにクスッと笑い、チュッと音を立て蓮二の頬にキスをした。  こんなに手慣れた感じに男とキスをする智が「初めて」なんて信じられなかった。それでもその言葉に蓮二は少し自信を取り戻し、恐る恐る智のペニスに手を添えた。 「でも……挿れたい。気持ちいいこと、するんだろ? 怖いのか?」 「ううん、そうじゃなくてさ。こっちは初めてだって言ったろ? 俺、タチ専だから……」 「タチ、専……?」  言われたことがよくわからないまま、この興奮をどうしてくれようかと智の体をとりあえず弄っていると、おもむろに四つん這いになった智が「これならいいぞ」と腰を揺らした。  目の前に引き締まった可愛い智の尻が誘うように揺れている。蓮二は「よしきた!」と言わんばかりに腰に手を置き、意気揚々と自身をあてがった。 「ちょっ? だから待って? 違うからね! そこには挿れないよ? 素股! 股の間ね? 間違えんなよ、入んねえからさ」  慌てて振り返る智に言われ、首を傾げる。 「股?…… の間?」  ローションをたっぷりと纏ってから締めた太腿の間に突っ込めと簡単に言われ、腑に落ちないまま蓮二はそれに従いゆっくりと挿入した。 「あっ……そう、んっ……そこ、うん……擦れて気持ちいい。お兄さん、気持ちい?」 「おっ、いい……智、なにこれ……気持ちいい……」  小さくぬちょりと卑猥な音を立て、ゆっくりと滾ったペニスを智の股の間に擦り付ける。それは思った以上に気持ちがよく、蓮二は快感を貪るがままヌルヌルと自分勝手に腰を揺らした。その度に智の腰は悩ましく反り、そして艶っぽい吐息と共に少しだけ弓形に曲がる。その腰の動きが一層いやらしく感じ、興奮しあっという間に吐精した。 「ええ……もうイッちゃった? あ、でもまだ元気じゃん……凄いね。俺もイキたい」 「手でして」と言われた蓮二は素直に智のペニスを緩々と扱く。智も気持ちよさそうにしながら蓮二の手淫で吐精した。 「お兄さん、超気持ちよかった……」  そう言って満足そうにふふっと笑い、智はそのまま眠ってしまった。 「は? 寝たのか? 嘘だろ?」  本当に嘘みたいな出来事だった──    蓮二はもう少し高揚感に浸りたかったけど、とりあえず汚れた寝具や体を綺麗にする。もちろん隣で爆睡かましている智の体も丁寧に拭いてやった。それでも起きずにすやすやと眠っている智の可愛い寝顔を見ているうちに、蓮二も一緒になって眠ってしまった。

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