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第22話

目が醒めて、目の前の白いシーツに頭が真っ白になった。 いつの間にか寝室のベッドで寝ているのだ。時計に目をやるとまだ5時だ。昨夜トイレを済ませ、DVDを観た所までは記憶がぼんやりと残っている。だが、その後の情事はうろ覚えというか、殆ど覚えてない。 柔らかな毛布を捲り上げ、怠くて倦怠感が残る下半身を確認すると何も着けておらず、あの馬鹿馬鹿しい下着の行方が気になったが考えたくなかった……。 ぼんやりと重い頭を働かせながら、モゾモゾと動くと後ろから太くて逞しい腕が伸びて腰を抱き寄せられる。 「………皐月、起きたの?」 優しく甘い声が後ろから聞こえ、蒼だと思うとほっと安心した。 ぎゅっと後ろに抱き寄せられ、肌の感触から二人とも全裸だとわかった。蒼の滑らかで筋肉質の肌が背中に触れ、密着するように躰を重ねる。肩に唇を押し当てキスされ、朝にしては蕩けるように甘える蒼に少し驚いた。 「………蒼、おはよう。」 「……ん………………皐月、昨日一人で準備したの?」 蒼が目覚めながらも、まだ眠たい声で囁く。 優しく首筋にキスされ、甘い痺れたような感覚がした。密着した身体が少し熱くなりかけ、恥ずかしくなり顔をシーツに隠すが蒼は笑いながら引き寄せた。 「………昨日、怒ってると思ってたから。」 小声でごにょごにょと答える。 蒼は胸の突起に触れ、優しく先端を捏ねるように撫でた。 「………不安だから、早く抱いて欲しかった?」 クスクスと笑いながら、胸の先に爪を立てられピクッと躰が甘く反応してしまう。 「そんな……ッ……………。」 「皐月は可愛いね。今日も休みだったらいいのに……………。」 蒼は午後からの出勤を名残惜しく思いながら、腰へ回し、何かを思い出したのか手を止める。 「あ、皐月……ッ…!あの下着なんだけど……!」 腰を撫でる指の動きが止まり、双丘に触れると急にぎゅっと尻を掴んだ。 「………………ァッ………あお……い…あの下着……。」 おおよそ予想がついた。 「もしかして、アレは黒瀬さんから貰ったの?」 予想外な名前が出てきて、後ろを振り向こうとするが蒼は首筋に顔を埋めて隠している。 「…いたッ……」 蒼はぎゅっと身体を強く抱き締め、埋めてた首筋を軽く噛んだ。 「……皐月、あんな下着を着けて誘ったら、駄目だよ……。誰だって、見境なく襲ってしまう。黒瀬さんだよね?」 拗ねたような声で蒼は言った。 慌てて訂正しようと身を起こそうとするが、強く躰を抑えられ身動きが出来ない。 「……蒼、違う。満だよ、弘前、弘前満。餞別だって、押し付けられた………アッ……!」 弘前の名前を言うと、噛まれた部分をきつく吸われ、さらに舌先で愛撫し蒼は満足そうに顔をあげた。 「……………良かった。もし黒瀬さんから貰った下着を着けてたら、僕は今、嫉妬で君を滅茶苦茶にしてたよ…。」 蒼は深い溜息を吐き、嬉しそうに何度もキスを背中に落とした。 敏感になっている肌に唇が触れ、甘い悦楽が走り躰が熱くなっていく。 「…………ッ…………。」 「君の事だから、言われるまま着けそうでさ………。嫉妬してしまったんだ。ごめん。」 「………流石にそれはしないよ。」 そこまで無神経ではないが、黒瀬ならやりそうだなとその姿を想像して、呆れた。 「だって君は他の男と指輪を見に行ったじゃないか……。」 蒼は拗ねるように指を絡めて、指先を眺めるように互いの絡めた指先を目の前に見せてきた。 「……えっ…………!…………蒼、どうして知ってるの?」 別に隠してはいないが、蒼が指輪を見に行った事を知って驚いた。絡めた手を下ろし蒼の顔を見つめようとするが、蒼は後ろから抱き締めたまま横になった躰を動かそうとしない。 「ごめん、黒瀬さんから聞いたんだ。嫉妬したよ。」 短く呟くように言って、後ろから抱き締めたまま耳朶を噛む。 そういえば指輪の件を黒瀬がやけに気にしていたのを思い出す。 本当に余計な事をしてくれる。なんでそんな事を蒼に喋ってくれるんだ……。 げんなりしながら、蒼の太い腕に抱かれながら、あとで黒瀬に文句を言おうと思った。 「…………………ごめん、もしかして、嫌だった?」 「そりゃ、嫌だよ。買いに行く姿すら見たくなかった。」 「見たくなかった………て……?」 まるで、その場にいるかのような言い方が頭に引っ掛かった。 蒼はもぞもぞと横に重なったまま、小声になった。 「ごめん、本当は昨日、公園までこっそり皐月の後をついて行ったんだ。そしたら黒瀬さんに鉢合わせて、その後、彼と話してたら君達を見失って彼とランチまでしちゃったよ。……格好悪いけど、君達の仲良さがどうも心配でさ。」 蒼は恥ずかしそうに言った。 黒瀬とランチまでしていたのは初耳で、想像できずに噴き出した。 「はは、黒瀬とランチ食べたの?」 「…………うん、まぁ仕事の話とか色々したよ。彼は食べたらすぐに仕事に戻ってたけど。」 何を話したのか気になる。 でも二人が顔を合わせている様子を思い浮かべるだけど、何故か可笑しかった。 「ごめん。もっとちゃんと考れば良かった。自分から買うなんてした事なくてさ。…………蒼は昔の恋人と指輪してた……?」 なんとなく黒瀬の話題から気になり、初めて蒼に過去に触れた気がした。 「………………まぁ、してたよ。」 蒼が珍しく黙り、ぎゅっと抱き締めてきた。 蒼の過去は聞いた事がなく、モテていたとは弘前から聞いていたが実は詳細は知らない。 訊きたいようで、知りたいが、今までは黒瀬の事に触れられたくなく避けてきた。 「…………男性もいた?」 「……一人だけいたよ。」 蒼はあまり話そうとせず、それだけ言って口を噤んだ。 急に沈黙めいたものが寝室に響き渡る。 ここで変に気まずくなるのも可笑しいので、急いで次の言葉を探した。 「………そっか。今は俺だけ?」 そう言うと、蒼は機嫌を戻したのかゆっくりと背中に唇を優しく当てた。 「………うん、皐月しかいない。」 今の自分の心を満たすには十分な言葉だ。 後ろを振り返り、蒼の唇に自分の唇を軽く重ね、次第に深くなっていく。 「俺も蒼しかいないよ、愛してる………。」 互いに唾液を吸い合い、キスする度に音が寝室に響く。 蒼は優しく前を扱きだし、段々と自分の先端から蜜が溢れ始めた。 「………んっ……蒼、したいの?」 腰には蒼の硬くなりかけた雄が当たり、自分も朝から半勃ちのようになってしまった。 「………昨日、甘えてきた皐月を思い出したんだ……可愛くて、積極的でびっくりした。」 そう言いながら、蒼は甘い吐息を吐くと肩を後ろから抱いて、急に先端を後孔に挿れ始めた。 蒼の言葉を振り返ろうとして、突然腰を押し下げるように挿入され、嬌声が漏れる。 「……はぁっ…………あぁ……ッ…。」 可愛い……? 昨日は映画を観て寝たんじゃないのか……。 「何度抱いても、君は素敵だ……。」 「……え…あっ…蒼、駄目……。」 まだ感覚が鈍い孔にするっと先端の膨らみが全部入り、ずぶずぶと後孔に雄茎が通っていくのが分かった。 ゆっくり腰を打ちつけられ、グチュグチュと残った中に出された体液が滑らかに溶け出すように助ける。胸を捏ね繰り回すように愛撫され、抵抗も出来ずに沸き上がる悦楽に溺れそうになった。そしてシーツに顔を隠すと顎を掴まれ、後ろに顔を向けられ唇を合わせた。 「あんな皐月、初めて見たよ。……………もう、誰にも見せないで。」 ぐいぐいと根元まで挿れられながら、愛撫されながらビクビクと弱い部分を擦り上げていく。ずしんと重い部分が触れると射精せずにイキそうになった。 パンパンと抽挿を繰り返し、寝室に乾いた音が響き、朝から卑猥な声が漏れていく。 「ーーーーーんッ…………蒼、ダメッ………イッてるッ………イッてるから…ッ……・・」 射精せずに深い快感の中、抵抗するが蒼は動きを止めようとしない。 顎を掴まれ、蒼は自分の蕩けそうな顔を眺め、容赦なく奥まで突き続けた。自分の顔がどんな顔をしてるか想像したくないほど、快感に酔いしれているのが分かる。そして、じっと見つめられるほど、恥ずかしくなり敏感に反応して感じた。 「…………皐月、沢山気持ち良くなっていいよ。…………その蕩けてる顔が最高に好きだ。」 蒼は満足そうに眺め、唇を重ね奥深く快感を与え続けた。

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