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第53話

キスが蕩けるように溶けていくように感じ、甘い快感に身体が反応しそうだった。 ふと、床に視線を落とすと蒼の少し膨らみかけた部分が目に止まる。 「……………蒼の舐めたいな。」 小声で呟くと、蒼はぎょっとし驚いた顔をした。 「皐月、まさか赤ワイン飲んだの?」 蒼は心配そうな瞳を向けて見つめてくる。まだ昼前なのにアルコールなんて飲んでいない。 「…………もう飲んでない。」 「…………なら、いいんだけど。心配だから、赤ワインはもう僕の前だけ飲んでね。」 黒瀬と同じような事を話す蒼に少し苦笑してしまう。そっと微笑みながら詰め寄っていく。 「あのさ………蒼、反省してるんだよね?」 「う、うん……。さ、皐月?」 じりじりと蒼に近づくと蒼は少し怯えつつ、浴槽に後退して後ろへ寄った。その拍子に浴槽に腰を下ろした。 にこっと笑いかけると、おどおどする蒼を上目遣いで見上げる。笑顔で蒼のジャケットとTシャツを脱がす。 「なら、俺が蒼を気持ち良くしてあげるよ。蒼はじっとして座ってて。………嫌なら、黒瀬の家にもう一泊してもいいよ?」 そんなつもりはなかったが、意地悪そうに言って浴槽に座る蒼を黙らせた。 自分は服を脱ぐのが面倒臭いので濡れたまま膝をつき、チャックに手をかける。 蒼のジーンズから少し硬くなりかけた雄を取り出す。蒼の匂いが鼻を掠め、それを口腔内に含んだ。舌を当てながらゆっくりと優しく上下させて味わっていく。顔を手で覆い、表情を隠す蒼が可愛くて、懸命に愛撫を繰り返す。 自分の濡れた服が肌に張り付き、露わになった突起が顔を動かす度に服に擦れていく。 蒼に奉仕してるはずが何故か酷く卑猥な格好で誘ってるように感じた。 「………皐月、ずるい。………………君を気持ちよくさせたいのに。こんなの……んっ……。」 昼間の陽光が浴室の小さな窓から射し込み、シャワーの水音と微かな蒼の声が響く。 いつもされている事を昼前から、しかも声が響く浴室で悶える蒼を見ると興奮してくる。潤んだ瞳と濡れた髪の毛が厭らしく見え、鍛えられた腹筋を撫でるように触れた。 段々と口腔内で硬さを増して、太くなっていく蒼の雄を喉奥までゆっくりと飲み込んでいく。ビクビクと鼓動が聞こえそうなくらい喉奥で締めるようにするが、上手くいかず涙目になってしまう。それでも、懸命に喉を使って顔を上下させると、蒼は耐えられずに手を伸ばして自分の胸の突起を抓んだ。 親指と人差し指ではさむように引っ張られると腰が自然と動いてしまう 「………っ……ふぁっ……。」 濡れた服からは 蒼は我慢できずにローションを取るとズボンから手を忍ばせて、後孔を解してきた。 ぬるついた液体が入口を柔らかくしていく。ゆっくりと指先を挿し込まれて弱い部分を目指して奥まで入り込む。ずくずくと蠢きながら、掻き回されていく。 自分も負けじに必死に舐めていくが、顎が疲れて上目遣いで蒼を眺めると向こうも限界らしい。 「皐月、ごめん。限界だ。」 「………えっ…………?」 蒼は自分を壁に立たせるとキスをしながら、尻の後孔にローションを垂らした。冷たい感覚が走るが、次の瞬間にゆっくりと孔に硬くなった雄を押しこんでいく。十分に濡れた場所が飲み込んでいくように奥まで入り込んで突いてくる 「……………っ………」 蒼が軽く突くだけで、ピュッと先走りの液が飛び出して早々にイッてしまう。 それでも蒼は腰を両手で固定し、奥まで挿れながら孔を拡げて根元まで挿入してくる。 「……ごめん、我慢出来ない。」 「……ァッ…ダメ、蒼、そこっ……。」 首を横に振り、後ろの孔だけ責められ弱い所を突いてくる。ビリビリとした悦楽が弱い部分に集中し、何かこみ上げてくるような感覚が襲う。 「……皐月、熱いね。」 激しくキスされ求められると、こみ上げてきた感覚が絶頂を達しビクビクと擦れた部分から痙攣していくのが分かった。 「…………ぁああッ…!」 声にもならない嬌声が漏れ、蒼に抱き締められながらまた何度も抽挿を繰り返す。絶頂に達した筈なのに、蕩けていく感覚が全身を支配していく気がした。

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