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番外編『皐月、セックスレスで悩む』7
渋滞に巻き込まれながら、ウィンカーが点滅するのを眺め蒼ははっと今日が休みである事を思い出す。
しまった………。先週、同僚とシフトを交換して、休みを取った事をすっかり忘れていた。
蒼はすぐに適当な曲がり道に入り、Uターンをして元来た道を戻る。帰って皐月とどこか出掛けようかと考え、胸が高鳴った。美味しいランチでも食べて、皐月とゆっくり過ごしたい。
先程の名残惜しさが消え、皐月と過ごせると思うと嬉しさが胸を締めた。ハンドルを切りながら運転すると、あっという間に自宅に到着する。このまま顔を見せても面白くないので、驚かせようと蒼は静かに玄関の扉を開けた。
皐月の靴を確認するが、すぐ側のリビングにはいないようだ。書斎だろうか?
「………皐月?」
皐月の名前を呼ぶが何処からも応答はない。
向かいの書斎を覗くが誰もいない。
山積みされた本が机に重なって今にも崩れそうになっている。書斎に入って崩れそうな本を直すと、トランクが開いたままでいるのが目についた。中には空き箱が1つ入っており、手に取ると知らない会社名が記載されている。
旅行に行く予定もまだない。
蒼は不思議に思いながら、皐月を探す。リビングにもいない、書斎にもいない。浴室も静かだ。さっきまで元気だった皐月を思い出して、まさか倒れているんじゃないかと思い、急に心配になった。
念の為一番奥の寝室に近づく。すると呻き声のような皐月の声が僅かに開いたドアの隙間から聞こえ、隙間から皐月がみえる。上半身を起こして脚を開いているが毛布に隠れてよく見えない。
皐月は身を捩りながら、毛布の中を見てる。
………………?
とりあえず具合は悪くなさそうで、蒼は皐月のが気になりじっとその様子を立ち尽くして眺めた。
皐月は何故か朝に自分が脱いだパジャマを羽織り、襟元を齧りながら声を押し殺している。開いたシャツからピンク色のなにかを胸に押し当てている。
「……ンッ…ンンッ…ァッ…あぁ…。」
ブーーーというような無機質な音が皐月の喘ぎ声とともに寝室に響く。朝からなんて光景を目にしているのだと、蒼は自分の目を疑った。
「さ、皐月、なにしてるの?」
驚いて、思わず声が出てしまった。
ビクビクと皐月の躰が揺れ、皐月が浅い呼吸を吐きながらぼんやりとした視線をこちらに向ける。微睡んだ表情で自分を確認すると、はっとしたのかすぐに驚いた表情に変わる。
「あ、蒼!?…えっ…ァッ…待って…んんっ…」
皐月は身動ぎして逃げようとするが、何故かどんどん躰が赤くなっていく。シーツを掴んで、何かから抗うように首を横に振るが、心配になり近寄って毛布を捲る。
「やめっ…蒼……んっ…来ないで…っ…!」
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