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番外編『悠君、お泊まりに来る』7

結局、昨夜は後ろから蒼に激しく求められ、懸命に声を殺すので大変だった。 悠が起きないかとか色々な事を考えてたのに、流されるままに蒼を求めてしまった。 仄暗い書斎に繋がれた部分からグチュグチュとした音とローションの張り付くぬめった感触が響いてすごく厭らしく感じてしまった。しかも蒼は両手を掴んで、壁に押し付けるように動くので圧迫感がすごく、蒼じゃない相手に犯されてるような気分になってしまった。膝立ちで蒼に後ろから揺さぶられる度に態勢が崩れ、股が開いて床におちていくのでさらに挿入部分が深くなる。二人で絶頂を迎えたが、なんとなくまだ足りなかった。 蒼には言わないでおいたが、ゴムをして挿入したせいか、いつもと違う感触に少し物足りなさを感じている自分がいた。 結局、蒼の上着はべとべとだし、手洗いをしてクリーニングに出す事になる。 情事が終わり、ぐったりしてると蒼は心配そうにおでこを触った。『今日は無理させちゃったし、早く寝よう。それとも、まだしたい?』と言うので、流石に勘弁してほしいと首を横に振った。 目が醒めて、熱ぽいことに気付く。 ベッドの端でまだ寝ていると、悠と蒼はすでに起きて朝の支度を完了していた。蒼は体温計を渡して、心配そうにこちらを眺めている。 「皐月、おはよう。やっぱり顔が赤いね。熱を測ろうか。朝食は冷蔵庫に入っているから、食べてゆっくり寝てて。お迎えは僕が代わりに行くよ。」 「ありがとう。でもお迎えぐらい行くよ、大丈夫。」 昨夜あんな事をしといて、蒼に迷惑をかけるわけにはいかない。 昼間身体を休めていれば少しは良くなるだろう。 渡された体温計を脇に置いて、蒼の頬を撫でた。 髪は綺麗に整えられて、今日もハンサムだ。 「本当に無理そうだったら連絡してね?できるだけ早く切り上げれるように調整はするから………。」 過保護な蒼に微笑みながらも、大袈裟だなと少し呆れる。 悠はというと蒼の後ろで心配そうにこちらを伺っている。 「サツキ、大丈夫?」 「大丈夫、夕方迎えには迎えに行くよ。学校、楽しんでおいで。」 「…………うん。でも無理しないでね。」 悠は心配そうに見つめ、蒼に手を引かれる。 二人して大病を患った患者のように接してくるので、少し笑ってしまった。 そんなに自分は弱々しく見えるのだろうか。 少し寝て、また仕事してから悠を迎えに行こうと思い、そのまま出かける二人をベッドから見送った。

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