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第4話

「やっぱさ、王の資質がないんだよ……」 肩を落として呟くと、すかさず「馬鹿」と悪態をつかれる。 「性別で資質が決まってたまるか。お前の容姿は華があるし、なにより国民から慕われている。もっと自信を持て」 「そうかぁ〜?」 ちなみに、ナイトはアルファだ。さっき発情中の少女に近づいても欲情しなかったのは、咄嗟に抑制剤を打ったからだろう。 今は薬の開発が進んで、不本意に襲ったり襲われたりすることは少なくなってきた。 それでも性別が原因で夢を諦める者や、自由を奪われてしまう者は存在する。さらに酷いのは、未だにオメガを性欲処理の手段としか見ていない一部のアルファ達だ。これらの根強い差別意識はそう簡単に消えるものじゃない。 ベータのおれでさえ『国王は‪アルファじゃないと』って言う声を何度も聞いてきた。その度に自分の性別を恨んだけど、変えられぬものを嘆いたところでどうしようもない。ベータだろうが何だろうが、死ぬ気で努力して認めさせる他に道は無いのだ。 「……ま、確かに頑張るしかねぇな!」 「そう思うなら遊んでばかりいないでだな……」 「あーあー、わかってるって。とりあえず苺買ってくぞ! おじさん、五千エール分頼む」 「おっ、お兄さんお目が高いね!」 持ってきたバスケットと硬貨を手渡すと、店主のおじさんは手際よく苺を詰め始めた。 「にしても……あの()が傷ついてなきゃいいんだけど」 「…………お前が気に病む必要は無い。おれが見る限りお前と話せて嬉しそうだったぞ」 「……ん、そっか」 素っ気なく見えるナイトだけど、おれが挫けそうになった時は必ず励まして、やる気を呼び起こしてくれる。 そんな幼なじみを改めて誇りに思いながら、苺を抱えて帰路に就いたのだった。

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