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※第12話②

由良さんにいざ連絡しようと思っても、なにを書いていいのかわからない。 おはようとお休みを繰り返すだけで、最後に会ってからもう10日が経っていた。 “お仕事の調子はどうですか?俺は今試験勉強中です。早く会い…” スマホの画面と睨めっこしながら、文字を打っては消し、打っては消しを繰り返し、結局なにも送信せず仕舞い。 おはようのLINEは俺が打つけれど、お休みはいつも由良さんがしてくれるから、スマホの通知音量を最大にして、そのままベッドに横になった。 …こんなに会いたくなるのなら、写真の一つや二つ撮っておけばよかったな。そうすればそれを見て、少しは気が紛れたかもしれない。 「わわっ…!!」 いきなり予期せぬ音が鳴って、思わず声を上げた。電話の着信音だ。 こんな時間に一体誰が…。思いながら手を伸ばす。 谷津がまた彼女と喧嘩でもしたのだろうか。 スマホを手に取ると、画面には“秋月由良”の文字。 びっくりしてスマホを落としそうになったが、床にダイブする寸前でなんとか受け止める。 混乱しながら、とりあえず受話器を上げるマークを押し、耳にスマホを当てた。 『幹斗君、突然ごめんね。今大丈夫?』 久しぶりに聞く由良さんの声に、身体全身が歓喜で震える。 顔を合わせているわけでもないのに、胸がきゅっと締め付けられた。どうしよう、嬉しい。 「大丈夫、です。…あの、どうしたんですか?」 自分の声が上ずっているのがわかり、恥ずかしくなった。俺の慌てようだとか、喜びだとかを全てわかっているように、受話器の向こうで由良さんがくすりと笑む。 『声が聞きたくなって。迷惑だったかな?』 「!?」 そんなの嬉しいに決まっている。ベッドにごろごろと転がって、今にも叫び出してしまいたいくらいに。 「あ、の、俺もっ、…声、聴きたかったですっ!」 最後の方は声が裏返ってしまった。 『それは嬉しいな。…ところで幹斗君、溜まってない?ダイナミクス(第二性)の欲求とか。』 痛いところを突かれ、言葉に詰まる。 由良さんと会うまでは1ヶ月に1回でも支障なく我慢できたのに、今では由良さんにプレイされたくて堪らず、由良さんのことで頭がいっぱいになることがあって。 「…えっと、その…、、…してます…。 」 無意識に声が小さくなる。 『じゃあ、今からプレイしようか。』 「えっ?…と…?」 今からプレイって、どういうことだ…?状況がうまく予測できない。 『僕が幹斗君に電話で命令をして、幹斗君はそれに従う。どうかな?』 芽生えた興味に、たっぷりと妖艶な響きを含んだ由良さんの声が拍車をかける。 「…お願いします。」 『いい子。じゃあ幹斗、:Strip.(脱いで)』 いい子、のあとはいつもよりワントーン低い声。 glareもないのに、俺はそれに従う。 ただ、由良さんに支配されているという事実に、ひどく高揚しながら。 『まずは針を剥がして、そこを自分で触ってごらん。』 言われた通りに胸についたシールを剥がすと、ぷっくりと腫れた突起が現れる。 敏感になったそこはわずかに指が擦れただけで過剰な反応を示すから、触れることを躊躇ってしまう。けれど、由良さんの命令であれば従いたい。 「ぁっ…ぅっ…… 」 『声、我慢しないで。』 親指の腹で突起に触れると声が溢れ、必死に我慢していたのに、逆に怒られてしまった。 「あぁっ…!!んっ、はぁっ… 」 恥ずかしい声。自分から出ているとは思えない。思いたくない。 『気持ちいいでしょう?』 追い打ちをかけるように、圧を持った由良さんの声が迫ってくる。 「はっ…ぃっ… 」 息も絶え絶えに返事をした。 『じゃあ次は、もっと気持ちいいとこ、触ってごらん。』 もういっぱいいっぱいだと思っても、ゆらさんの命令は止まらないらしい。 もっと気持ちいいとこ、と言われれば、具体的に示されなくても大体わかる。 既に主張を始めている自分の前に手を伸ばし、親指で先端を擦ると、甘いため息が漏れた。 そういえば、こうしてここを自分で触るのは、いつぶりだろう。 「はぁっ…、はっ…ぅっ…あぁっ… 」 片手でスマホを耳に当てて片手で前を弄っているので口を塞ぐことができない。 結果、甘ったるい声がただ漏れになってしまう。 『今どこを触ってる?』 「…ぁっ…、まっ、前っ…!!」 『幹斗はまだ、後ろより前の方が気持ちいいんだ?』 …意地悪だ。 わかっているくせに、言わせようとしてくるなんて。 「だって、うしろっ、はっ、…んっ…、由良さん、以外、しちゃだめっ、てっ…、ぁっ…!!」 『いい子。』 甘く囁かれ、快楽の波が押し寄せる。あまりに早くて恥ずかしい。 「由良さん、も、いきそっ… 」 せめて許可を取らなければ、と息絶え絶えに喘ぐ。 『いいよ、イきなさい。』 「あぁっ…!!」 命令形で言われた瞬間、波が弾けた。 勢いよく出た白濁は、容赦なくシーツを濡らす。 …ティッシュ、出すの忘れてた…。 後悔しつつも、身体からはくたりと力が抜け、快楽の余韻にゆるゆると浸る。 『幹斗、ちゃんと出せたか見せて。』 「わっ…!!」 いきなり由良さんの声が大きく響いてびっくりした。さらに、画面を見て驚く。 なんとビデオ通話に切り替わっており、画面に由良さんが映し出されていたのだ。 見せて、と言われたのを思い出す。つまり、俺もビデオ通話に切り替えて、今の状況を晒せと言うことだろうか。 …恥ずかしい。 1人で裸になって、その上自分の出したもので汚れているのだ。 …でも、見てもらえて、褒めてもらえたらもっと気持ちいい。 どくどくと心臓が脈を強く売っている。震える手でビデオ通話に切り替え、スマホを高く上げて全身を映す。 『たくさん出たね、いい子。…幹斗君、気持ちよかった?』 頷くと、画面の中の由良さんが、くしゃりと目を細めて柔らかく笑む。褒められた喜びで頭がふわふわとしてきた。 「あの、ありがとうございました。」 『こちらこそ。幹斗君とプレイしたくて堪らなかったから、付き合ってくれてありがとうね。』 そのあと、俺と由良さんはお互いにお休みをした。 …身体、熱い…。 ベランダに出て空を仰ぐと、オリオン座を始め、冬の賑やかな星空が広がっていた。 一つ一つ知っている星座を確認しているうちに、身体が冷めていく。 結局全部確認する前に、寒さで限界が来てしまって。 そのまま布団にくるまると、すぐに意識は遠のいた。

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