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※第13話②
俺をベッドへと押し倒し、蕩けるようなキスをして。
「始めようか。幹斗。:Stay.(動かないで)」
プレイ開始の合図が告げられる。
由良さんが出したcommand がいつもの"kneel"と違い、戸惑っていると、突然目の前が真っ暗になった。
何も見えずに不安で、目を覆うものを取り除きたいのに、commandのせいで動くことが叶わない。
「あの、由良さん…?」
「どうした?幹斗。」
近くから由良さんの声が聞こえてきて、少し安心した。プレイ中の冷めた声音でも、彼がこの場にいることを教えてくれる。
「何も見えないです…。」
「うん。でもたっぷり気持ちよくしてあげるから、我慢して。…動いてはいけないよ。」
そう言われてやっと、意図的に視覚を奪われたのだと理解した。
シャツが捲り上げられる。もちろん抵抗はできない。
爪先で胸の突起を弾かれて、声が漏れた。
「声、抑えないでね。」
「ぁっ…、あぁっ…!!」
耳元で叱るようにささやかれ、さらに声が漏れていく。
視覚が奪われた分それ以外の情報が鮮明に感じられて、与えられる刺激に敏感になる。
ただただ快楽を逃がそうと喘いでいると、今度は下を脱がされた。
「ぁっ…やっ、あぁっ…!!」
間をおかず、すでに胸部への刺激で熱を持っていた雄を刺激される。
さらに、同時に後ろにもぬるりとした指が入ってきた。
気持ちいいのに、怖い。由良さんの顔が見えない。
…視覚からの情報の信頼度って、意外と高いんだ。
「…ぁっ、由良さんっ、そこっ…、、ぁっ…、いっ…、る…っ?」
返事はない。かわりに後孔への刺激が強くなった。
…ああ、どうしてこんなにも怖いのだろう。
中を蹂躙するのは、よく知っている指なのに。
怖くても、気持ちいい部分を執拗に刺激されれば、声と一緒に快楽の波が押し寄せて。
その熱は、どんなに声にして逃そうとしても、それ以上の速さで内に溜まっていく。
ああ、もう…。
「やっ…、いぃ、イっ…、イッちゃっ…!!」
よくわからないままに、必死で喘ぎを漏らす。
「ぁっ、イッ……?」
けれどその指の動きは、達する直前で止まった。
発散されるはずだった熱は、逃げ場を失い体内をのたうちまわる。
「由良さん、欲しいっ…!俺の中、由良さんのっ…!!」
無意識のうちに叫んでいた。
「いいよ。」
嘲りを帯びた冷たい声が響く。
それとともに、視界を遮っていた何かが外された。
視界に、不敵な笑みを浮かべた由良さんの顔が映る。
やがて由良さんの瞳からglareが放たれて。
「Fetch ,幹斗。この部屋のどこかにゴムを隠したから、持ってこられたら気持ちよくしてあげる。」
そう、意地悪く彼は言った
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