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第2話

 朝になると身体もだるく、した後のような違和感は身体にあるのに、見た目には何も残らない。  全身余すところなく舐めまわされ、何度も精液を吐き出したはずなのに。  身体には何の汚れもない。  それどころか、ハーブのような爽やかな匂いが身体からして、それが気になった。  夢の中でも嗅ぐ匂いだから。  思ったよりも失恋のダメージがあるのかと思った。  こんな夢にすがるほど。  また夜、夢の中で恋人の舌に愛された。何故か恋人は二人になっていた。  「お前なんか相手するのは、オレだけしかいないだろ」  そう言ってたくせに、「だけ」って言ってたくせに「オレ」が二人になっている。  それがおかしくて、舌に喘がせられながら、笑った。  だけじゃない。   二人いる。  恋人二人の舌は優しかった。  舌だけじゃなく、吸ったり噛んだりもしてくれるようになった。  ただ酷く扱われるか、お客に奉仕するだけだった身体は愛撫に慣れていなかったから、溺れた。      噛んで舐められ吸われて、乳首が熱と芯をもち、その芯から甘さが生まれることを知った。  性器を舐められ吸われて、唇で扱かれて。  口でされる気持ち良さを知った。  ただ機械的に出すだけじゃない、受け入れられてその中で出す悦びを。  後ろの穴を舌で溶かされて、舌で犯されることで達することが出来ることも。  そんなこと、誰もしてくれなかったから、ただ、オナホのようにぶち込まれるだけの場所だと思っていたから、何度も何度も叫びながら達した。  指の間。  指。  脇。  脚の付け根。   首筋。      こんなところを舐められる甘さ。  肌を吸われる疼痛。    知らなかったのだ。  こんなの。  つっこまれることだけがセックスだと思っていたから。  二人になった恋人は、優しく愛してくれた。  唾液にまみれて喘ぎ、精液を何度も吐き出し、優しく噛まれることに狂い、吸われることに陶酔した。  夢の中で。  夢だった。  だって朝になると何もない、から。  朝になると身体は愛された後みたいに過敏になるのに、なんの跡はない。  昨日二人がかりで愛された乳首も性器にも跡はない。  でも、身体は熱を帯びていて。  思わず自分で自分を朝から慰めた。  恋人たちは最後までしてくれなかったから。  奥までは埋めてくれなかったから。  恋人が奪わなかったモノ。  自分に使ったモノを新しいヤツには使いたくないという理由だけで奪わなかったディルドを取り出し、自分でオナニーした。  奥まで欲しかった。  たまらなく欲しかった。  恋人や客に犯されているときは「早く終われ」としか思ってなかった行為に没頭した。  夢の中で高められた身体は、ディルドを挿入しただけで達した。  中に堅いものがある。  それが好き。  擦られるのが好き。  生まれて初めてそう思った。  恋人を思って。  自分を捨てた恋人ではなく、夢に出てくる二人の恋人を思って自分で奥まで貫いた。  そして、現実の中で射精した。  何度も何度も。    必死でディルドを動かした。     現実の恋人にそうされていた時は痛くてつらかっただけなのに。  擦られたくてたまらなかった。  自慰が気持ち良くて仕方なかった。  夢で愛され、自慰に狂う。  引きこもった屋敷は。   幸せな牢獄だった。  その屋敷は管理はされていても長く誰も住まなかった。   この屋敷をくれた優しい人は笑っていた。  「呪われてるんだって馬鹿馬鹿しい」  そう言って。  本当に馬鹿馬鹿しい。  同感だ。  これは呪いなわけがない。  だってこんなに気持ち良い

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