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13.ポップサーカス 【2】

「じゃ、俺部活行くな」 「おう、頑張れよ」 なんだかんだで夕方になるまで佐伯とフラフラ街中を彷徨い、再び学校へと戻って来た今、翔は変わらずの笑顔を浮かべては俺へと瞳を向けている。 ホントにサッカー好きなんだな、授業は綺麗にサボっても部活は欠かさず出るんだから。 「今日、すげえ楽しかった。ありがと」 「え、お…おう。てもうお前とっとと部活行きやがれ!!」 「あはは!! わ~かった!! じゃなあ!!」 ストレートな想いと真面目な表情や雰囲気に耐えかねて、勢いに任せて佐伯をグラウンドへと強制的に追い出す。 親しみやすい笑顔を浮かべる佐伯は、楽しそうに笑い声を上げながら、手を振り部活へと走って行く。 「結局、言えなかったなあ」 次第に小さくなっていく後ろ姿を眺めながら、ポツりと唇から零れ落ちる言葉と、改めて感じる自分の不甲斐なさ。 昨日の事には一切触れてこなかった佐伯に、あの雰囲気をぶち壊す事になるだろう話を切り出すなんて出来るはずもなく、朝までのあの気合いは一体ドコへ消えたのかと思う。 「批土岐、まだ居っかな」 まだ放課後となって間もないだけに居るだろうとは思ったけれど、流石に会いに行くのはどうなんだとブレーキをかける俺も居て。 それでも会いてえ気持ちは膨らんでいくばかりで、ほんのちょっとだけでいい何か話がしたいと思い、朝ぶりの校舎内へと歩いていく。 会わす顔がねえやと思いつつも、基本的に自分に甘い俺はしっかりと生徒会室を目指していて、燃料切れの気合いを補充しようと廊下を進んでいく。 「たぶんぜってえ生徒会室に居るはずだ」 今ではもう、すっかりご縁がある場所となった一室。 階段をタンタンと軽快に駆け上がり、目的地であるそこが近付いてきて、そろりと足音を忍ばせてみる。 「え─…と、ひときひとき」 戸の目の前までやって来て、コッソリとガラス窓から顔を出し、中の様子を覗いてみる。 「………」 広い室内、開けていたらしい窓からそよぐ風がカーテンを揺らし、一様に真面目な表情を浮かべている役員たちは何やら話し合いに忙しそうだ。 そこにはもちろん批土岐の姿はあったけれど、ホワイトボードを使って何かを説明しているらしい一人へと視線を向け、静かに話を聞いているらしかった。 「ぜってえ入れねえ─…」 軽く10人を越えるだろう人数に、この俺が颯爽とあの中へ飛び込んでいけるわけがない。 それ以前に、このナリじゃあな。

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