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14.ポップサーカス 【2】

「どうすっかなあ。やべえ暇だ」 諦めも肝心、くるりと向きを変えると来た道をゆっくりと戻り出す。 「…今日も遅くなんのかな」 何時に終わるかも分からない、それまで何処で時間潰してよう。 別に待っててなんて頼まれたわけでもなんでもねえけど、俺がそうしてえからするだけ。 それで昨日はもう人もまばらになり始めていた時で、批土岐が招き入れてくれたお陰ですんなりと中で落ち着いていられたけれど。 でも今日は違う、一人で入って行く勇気なんてもんはさっきも言ったけど、俺にはねえ。 しかもよく考えてみりゃ俺、この姿と言い優等生の敵になるんじゃ…。 人前でこんなんが、しかも生徒会長と仲良しこよししてんのは流石に問題か、すげえ問題だな。 「…サッカー、見に行ってみっかな」 だからと言って今更まともになる気なんて更々無いし、俺の中ではこの姿が本来の成山京灯なわけだから、変わろうなんて思えねえ。 「早速見に行くっつうのもなあ…」 ウダウダと思考を巡らせ階段を降りて、先程別れを告げたはずの佐伯の元へもう向かおうとしているらしいこの足。 孤独に浸りながら時間を過ごしているのもいいけれど、今はそういう気分じゃない。 誰だっていい、人が居る場所へと埋もれたかった。

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