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16.ポップサーカス 【2】
「峰くんだろ!!」
「だったらなんだ!!」
案の定バタバタと走り現れたのは、クラスは違うけれど結構仲良しだと俺は思っている峰木の姿がそこにはあって。
だいぶ息が上がっている様子に、自然と浮かび上がってくるもう一人の存在、この解答も絶対に当たっていると思う。
「北見だろォ」
「不吉なこと言ってんじゃねえ!!」
風紀委員である二年の北見という奴は、峰木が大層お気に入りらしく専属と言ってもいい位に、日々しつこく楽しそうにこの不良クンを追い回しているご様子で。
なんだかんだ言いつつも律儀に逃げ回っている峰クンに愛しさを感じずにいられない。
「おっ、はっけ~ん」
「げっ!! テメいい加減しつけんだよッ!! この何処に出しても恥ずかしい変態が!!」
「是非共有しちゃって下さいよ、俺の変態さとやらを」
「うっせえボケ─ッ!! オマ他にする事ねえのか─ッ!!」
「え、なになに─ッ!! その他にしたい山ほどの事をとっとと実行したいんで、そろそろ今日のところは終わりにしよっかせんぱ─っい!!」
「なんにも聞こえね─ッ!! くたばれテメ─ッ!!」
そして殆ど会話を交わす事もないまま、やっぱり今回も突然に現れた北見から全速力で逃げていく峰木。
ある意味、佐伯や陸上部よりも速いんじゃないかと俺は見た。
「しっかし仲いいよなあ~」
今日も相変わらず鬼ごっこなんて羨ましい限りだぜ、まったくよ─ッ!!
微笑ましい光景に、思わず一人笑ってしまいそうになる。
御本人様にしてみれば、かなりギリギリな状況だろうけどな。
ガラッ
「京灯?」
「あ、批土岐」
程なくして、峰木の元気あり余る声でも耳に入ったのか、生徒会室から顔を覗かせた批土岐と目が合う。
峰くんナイス!!
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