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18.ポップサーカス 【2】
──1週間。
時はいつだって待ってはくれず、あっと言う間に過ぎ去っていく。
俺と言えば相変わらずうやむやな状態を維持し続ける不甲斐ない現状で、流れに身を任せては後戻り出来ない状況へと確実に堕ちていく。
批土岐はもちろん未だに多忙で、まともにあれから話なんてしていない気がする。
「…はあ」
どれだけ時が刻まれようと変わらない、部活動に励む生徒の活気に満ち溢れた声を聞きながら、ぼんやりと水飲み場で一人佇む。
批土岐と話したいのは山々だ。
だけど一方的に話しづらさを持ってしまっていた俺には、無数に散らばるチャンスを黙って見過ごしては、無様な結果を着々と築き上げてしまっていて。
いつもの調子で自分から行くなんて無理だし、かと言って批土岐は批土岐で話し掛けてもくんねえし。
忙しいんだからしょうがないと納得させてはみるものの、この一件どう考えても悪い部分は俺にしかないわけで。
こんな最高かっこわりい俺に、批土岐は一体なにを思うだろう。
ああぁ─ッ!!!
なんで俺ってこうなんだっ!!!
「京灯」
「うわっ!! おっおどかすなよ~っ!!」
悩みに悩み、いい加減なんだかよく分からなくなり混乱してきた頃のこと。
頭を抱えてうずくまる、というところで突然聞こえた声はすぐ背後からのもので、驚きと共にビクりと身体が跳ね上がっていた。
「どうしたよ? ボーっとしてさ」
「翔…ッ」
振り向いたすぐ先で立っていたのは、ユニフォーム姿の佐伯だった。
「休憩中か?」
「そっ」
夕闇へと徐々に変化を遂げていく太陽に照らされ、風に揺られながらキラキラと映える佐伯の髪は、一層鮮やかに染められて。
タオル片手にやって来ていた佐伯は水道へと近付いて、キュッと言う音をさせながら蛇口をひねる。
「あ─っ、すっげ気持ちい─っ」
上向かせた先から勢い良く溢れ出す水を飲み、次にはバシャりと顔面へ浴びせかける。
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