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25.ポップサーカス 【2】
「今ならまだ余裕で追いつけますよ。さっき、歩いてんの見掛けたから」
「マジ?」
自分で攻撃しておいて、気付けば佐伯の頭を撫でてしまっていた時にふと言われた事柄。
聞き流すはずもなく、ガブりと喰い付いたのは批土岐目撃情報で。
「うん」
「そか、分かった。サンキュな!! んじゃ、俺行くわ」
まだそう遠くへは行っていないはずだと思い、急いで追い掛けようと佐伯に手を上げ駆け出そうとする。
「先輩ッ!!」
「おっ?」
勢い良く走っていたところで、後方からの呼び掛けにチラりと振り向く。
「これからもヨロシクお願いしま―っす!!」
「うわキッモ!!」
「ひどくねえ?!」
「はははっ!! 冗談だっつの!! じゃな―っ!!」
翔にもホント、悪いことしちまったな。
でも、気持ちはすっげえ嬉しかった。
軽快に足を運ばせていきながら、早く早くと校門へ向け全力で駆けて行く。
「…ま、俺はまだ諦めてねえけど」
そして残された佐伯が一人、小さくなっていく後ろ姿を眺めながら呟かれた一言は、当然ながら俺には聞こえるはずもなかった。
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