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27.ポップサーカス 【2】
何処からどう見ても真剣に謝っている俺に向け、批土岐がとってきた行動はそれはもう笑い出すことで。
一体どこらへんにそんな吹き出す要素があったのかと、決して笑わせようとして言ったわけじゃない俺としては、かなり首を傾げる展開となってしまう。
「俺も、ごめん。ちょっとイライラしてた」
「いやいやいや!! 批土岐に謝られる筋合いはねえ!!」
暫くの間はクスりと笑みを刻んでいた批土岐、その穏やかで柔らかい表情を目にしていた俺としては、可愛いなあなんて内心思っていても仕方のないことだ。
それなのに、なんで俺はその…批土岐に…される側になっちまってたのか、未だに頭を抱えそうなお悩みが一つ。
「京灯が優しいのは分かってる。でも、仲良さそうなとこ見ると腹が立ってきて」
「おお?! もしかして妬いたかよ!!」
「京灯」
「すいましぇ~ん」
またちょっと調子に乗りました。
だけど、これでなんとか無事に仲直りってやつだろうか。
顔を見れば、いつもと変わらない優しい表情を浮かべている批土岐がいて一安心する。
「でも」
「ん?」
「京灯、無用心だよ」
「え? うおっ、いでっ!!」
かと思えば、含みを持って途切れた言葉の後に、ズビシッと喰らってしまったデコピンはなかなか強烈なもので。
咄嗟に額へ手を触れて、さすりさすりと結構痛い。
「はっきり言って、心中穏やかじゃなかったよ」
「批土岐…っ」
痛いの痛いの飛んでいけとまだ微妙に痛む額をさすりながら、批土岐からの言葉を受けてどう反応すればいいのかと思考を巡らせる。
見透かす様な瞳に見つめられ、俺の中に生まれ出てくるのは戸惑いと言う感情。
「な~んてね。じゃ、帰ろうか」
「え、あ―っ…うん」
な~んてねって、そんなアナタッ。
ひどく真面目な表情をした批土岐はほんの一時のことで、次にはもういつも通りニコりと笑いかけてくる。
そして一歩と踏み出して、再び足を進めていって。
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