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28.ポップサーカス 【2】
「……っ」
何事もなくその後を追っていきてえけど、しかし俺にはまだやるべきことがある。
「愁っ!!」
ずっと、それはもう何億光年位の勢いで口にする事が出来なかった言葉。
俺は意を決して、その名前を漸く口にする。
す、すっげえ恥ずかしい。
「京灯…っ?」
途端にカッと朱が走っていく頬、振り向いた批土岐は少なからず驚いているように見えた。
「や、その…っ未だにまだ…すげえ照れくさいんだけど…まあ、頑張りますんでヨロシク…」
再び目の前へと戻ってきた批土岐、なんとか言えたもののあからさまに目を逸らしている俺。
仕方ねえじゃん、ハズいんだから!!
批土岐のことを正面からまともに見るなんて出来ず、ボソボソと頑張ります宣言をする。
う―ん、二度目は当分無理だな。
「京灯」
「ん? え、…え?」
「どうかした?」
「どうかしたもなにも、なんすかこの展開は!!」
顔を俯かせバクバクいっている心臓をなんとか落ち着かせようとしていた時、ふいに呼ばれた名前に目を向けてしまって。
気付けば時すでに遅し、何故か道路の真ん中から塀へと追い込まれていっている俺が今ココにおりまして。
閑静な住宅街、道幅もそう広くなく俺の背にはすぐ塀の感触が伝わってきて。
あの―…、これは一体。
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