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1.ポップサーカス 【3】

「…俺、発情期かもしんない」 ハッ!! ちょっと待て!! よりによって今の俺の呟きを高性能マイクで拾われるとは思ってもみなかったし!! とりあえず辺りをキョロキョロと見回して、お前はヤりたい盛りの動物かァ!!なんてツッコまれないよう今更細心の注意を払ってみた。 廊下には何故か俺だけで、ちょっと寂しさを感じてみたり。 いや、今に至るまでの一連の怪しくて危うい行動を見られなくて何よりだったけども。 「…はあ」 口元に収まるピアスに触れ、俺は一体何をしてんだと初心に返ってみる。 別に俺、欲求不満てわけでもないし、常にリベンジの日々だよ。 え?結果? うん。まあ…確かに俺が襲ったはずなんだけど、アレいつの間にか位置が逆転して下にいたぞ?みたいな。 ははっ、オカシイィ!!! …笑えない。 「ん?あれはマイハニィ批土岐ちゃんっ…」 情けない一人芝居を終えた後、チラりと廊下の端に見えた姿が目に入った。 それはまさしく、俺が言うんだ批土岐に違いない。 「何処行くんだ?」 腕組みなんてしながら考えつつも、足だけはもう批土岐の後を追い始める。 もう俺の恥ずかしい発言は忘れてくれ。 ああぁ!言わなきゃ良かったよ忘れてたかもしれないのに!

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