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5.ポップサーカス 【4】
じりじり迫ってくる批土岐から後ろに下がるも、あっという間に逃げ場を無くす俺。
ひらりと机から飛び降りて駆け出していきたいところだけど、今この状況の中で捕まった時のことを考えてみると…
後が怖ぇ。
「往生際が悪いな京灯。自分の言葉に責任持たなきゃ」
「だっ…だってよ~ッ」
すぐ目の前までやって来た批土岐が、俺に声をかけながらその場に片膝をつく。
俺としてはだ、その手フェチが放っておかないだろう!と思う綺麗な手に握られているローターのことが気になって気になって気になって。
「後3回続けて遅刻したら、俺に従ってもらうよ?て言った時、京灯なんて答えた?」
「……いいぜ、連続とか流石に有り得ねえし」
「うん、そうだったね」
まさか俺、こんな展開になるとは思ってもみなかったし!!
もしホントに3回連続で遅刻したとしても、飯奢る位かななんて甘い考えでいたからな。
そしたらコレだ。
「今素直に従っておいたほうが、いいんじゃないかな」
「へ?」
大体、全ては担任が悪いんじゃねえか!!よりによって批土岐に、俺の遅刻をどうにかしてくれなんて言いやがって…!!
学校来てんだから良くねえ?!
そんな事頼まれて、何も行動を起こしてこないわけがなくて。
「まあ、これだけじゃ物足りないって言うんならいいんだけど」
「んなわけねえだろーッ!!!!」
しっかりと持たれた小さなローター。
あぁっ…マジで最悪。
絶対楽しんでるしよ~批土岐のやろおぉぉっ………
でも、3回まで猶予貰えていたにも関わらず、言われた翌日からすでに遅刻していた俺。
救えねえー…
あんなもんにどうにかされるなんて我慢ならねえっ…!!
けど実際問題、遅刻しまくった俺が悪いし。
腹括るかッ…
ああでもッ!!!
「どうする?京灯」
「………ッ!!!あーっくっっそー」
その自信たっぷりな笑顔に、俺は今日も勝てないわけっすか。
お前の最近の変態ぶりには、目を見張るぜ…
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