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3.ポップサーカス 【5】

「流石は批土岐んち!!相変わらず風呂場も綺麗!!」 風呂場に入った瞬間に唐突に叫ぶ俺。 やっぱり批土岐んちっすからココは!浴槽も広いしで、風呂に入るのがなんだか楽しくなっちゃいそうなそんな気になってくる。 「お湯、入れるから」 そう言った批土岐に笑いかけて、蛇口を捻った先からはみるみる湯気を昇らせながらお湯が流れ落ちていく。 浴槽に栓をして、少しずつ溜まっていく透明な湯。 均整のとれた体、程良く筋肉のついた二の腕、うっすらと浮き出た血管に…てオオォォイ!!途中からドコ見てんだ俺!!! 「あ、シャワー使ってていいよ」 「え、あっうん、まかせろ!」 明らかに視線が批土岐に向けられていたことに気付いて、そうしたらその本人に突然話しかけられ激しく動揺する俺。 まかせろってなんだよ俺のバカやろーっ!!こんなとこでまで恥かいてる場合じゃねえのに!! 「京灯?どうかした?」 「どうもしねえ!」 俺が無駄に慌てふためいているのに気付いたらしい批土岐が、蛇口から手を離してこっちに近付いてきた。 「なっなんでもねえからホンッ」 ザ─────ッ!!! 「つべてえっっ!!!」 今一瞬やましいこと考えていた俺を許してくれ!!なんて思いつつ、一刻も早く意識を別に向けさせなければと焦りながら蛇口を勢い良く捻った俺。 「京灯っ?」 「うわっ!ちょっマジ冷てっ!」 水量最大で飛び出してきたのは、頭冷やせ!!と言わんばかりの冷水で。 顔面からバシャァ!!と浴びてしまった俺は、余りの冷たさに間の抜けた悲鳴を上げる。 「大丈夫?」 冷たさにやられてその場から逃げるっていう簡単なことも出来ないでいた時、俺の前に腕をすっと出してきた批土岐。 その直後、容赦なく叩きつけていた水は心の底からホッとする温水に早変わり。 あぁ…っ冷たくねえ!!あったけえー…… 「あ゛─…マジ、死ぬかと思った……」 モワモワと湯気を立ち上らせながら、俺の体を今濡らしているのは安心出来る温かいお湯で。 額を拭いながら、ホッとして俺もうヒィヒィ。 今年の急死に一生はこれで決まりだと思った。

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