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10.ポップサーカス 【5】
「あッ…はっ、あ」
やべえッ……止まんねえっ、無理ッ…!
やめろって!と思う心は脆く弱く、本能はただ忠実に目の前の快楽ばかりを貪り続ける。
自分自身に添えられた手は離れることを知らず、先走りで溢れ返るソコに延々と指を這わせ続ける。
流れ落ちる湯音と重なって、この場の空気を支配する自身からの粘着質な音。
仄かに染まる体、うっすらと汗をかきながら取り憑かれたかのように扱き続ける。
「あっ、はっあ、あっ…ん!」
どこの娼婦かなんかだ俺はッ…!
じわじわと確実に絶頂へと近付いていきながら、自分でも気付かない内に腰まで揺れ始めて。
みっともねえけど気持ち良くてイキたくてッ…だけど自分で自分がすげえ情けなく思えてなんか泣けてくる。
「あっ、ん…ッも、はっ…あっ、イッ」
だけどここまできて、俺が止まれるはずもなく。
焦らしながらも自分を追い詰めていく感覚に、背筋がゾワゾワとしてくる。
先端を親指の腹で擦り付け、ゾクッとする刺激に甘ったるい声が自然と漏れる。
もう無理、今の俺には人間様の言葉なんて理解出来そうにない。
恥だろうがなんだろうが、俺はッ…イキてえんだよ!
「京灯」
「あッ…!」
声も抑える気すらなく、いつしかとろんとした目つきになりながら自慰行為をし続けていた。
それも頂点が近付いてきて、一瞬の果てしなく甘い快楽の波へと向けて従順に自分自身を弄っていた時。
今まで黙って見ているだけだった批土岐が、ここで初めて動きを起こしてきた。
「ぁッ、にすんだよッ…」
刺激を加えていた手を、上体を軽く起こした批土岐にぐいっと掴まれ、そのまま倒れ込んでしまう体。
折角もう少しでイケそうだったのに!
「熱いね、京灯の」
「んッ…!」
批土岐の顔の脇に手をついて、さっきまでとは比べものにならない程の至近距離でお互いに見つめ合っている。
そして言われた批土岐の言葉に、俺自身の今の状態を知ることになる。
「あッ……」
批土岐の腹に俺自身が触れて、そこから広がる熱に今にも侵されそうだ。
「そんなにイキたかったの?」
「…っ」
とんでもない体勢の中で、批土岐の言葉が限りなく図星な俺。
何も言えず、視線を逸らしてしまう。
「うん。イキなよ、京灯」
「え…」
密着した状態のまま、どうしたらいいか思いつけずにいた時、批土岐からの言葉に耳を疑う。
イッて…いいわけ…?
て、え…なに、勝手にイケって感じ?
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