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12.ポップサーカス 【5】
「はっ、あっんッ…た、のしいかよッ…見、ててッ…あ」
全く何もしてこないで見つめ続ける批土岐に、切羽詰まっていながらもそんなことをつい聞いてしまった。
「ん。京灯だから」
「こッの…あっ、エロッ」
「負けてないよ、京灯も」
「あッ…ん、あっ!!」
見られるだけでやべえ。
俺は見事に、批土岐の視線と腹に自身を擦り続けることで、あっけなく果ててしまった。
あぁ…ダメ俺マジ無理生きてけねえよ…
「はあッ…はあっ、あ゛──……………わりい…」
おあずけにおあずけをくらっていた俺自身をやっと解放することが出来、余韻に浸り気だるさの中で力なく批土岐に倒れ込んでいた。
少し息を乱しながら、肩口に顔を埋める。
とてもじゃないけど批土岐の顔を見るなんて今の俺には拷問だ。
モゴモゴと最後のほうなんてかなり声を小さくさせながら、それでも悪いと思うから!謝ったんだけど。
「ん?なにが」
「なっ、なにがって……察しろよそこは!」
なにが、なんて聞き返されてガバりと顔を上げて批土岐と視線を合わせる俺。
少し悪戯っぽく笑う批土岐に、ぜってえ分かってるくせにコイツ!と顔の温度がまた一気に上昇していく。
「ん?」
「あ゛っ~~ッ!!!お前の腹にぶちまけたっっ!!これでいいか!!!」
楽しそうに尚も聞き返してくる批土岐に、俺はまたヤケを起こす。
そんな眩しい笑顔で見つめてきやがって!勢いに任せて、それでも俯きながら叫んでみる。
「うん、知ってる」
「おぉい!叫び損か俺はっ!!!」
風呂場に響き渡らせながら叫んだっていうのに、批土岐の口からアッサリと言われた言葉にガックリと肩を落とす。
なんか俺、こんなんばっかり……
「お湯、溢れちゃったね」
「あっ!やべえよ止めなきゃ!」
内心ちょっと凹んでいた時、すっと髪に触れてきた批土岐の手の感触にハッと我に返る。
ドバドバと溢れ続けるお湯、慌てて止めにいく俺。
「ありがと、京灯」
「や、別にッ…て!」
並々と溜まり続けていたお湯を止められたことに安堵しながら、批土岐の言葉に自然と視線が向く俺。
そして一瞬にして目を逸らし、明後日のほうを見つめた俺にはちゃんと理由がある。
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