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13.ポップサーカス 【5】

「い、嫌がらせっすかソレッ…」 「どれ?」 どこか遠くを眺めながら、なんでコイツはこうなんだよ!と頭の中で騒ぐ俺。 「ん?」 「ああぁッ!!!んなもんいつまでもつけてんじゃねえ!!!」 バシャァ!!! 楽しそうに話す批土岐に、またもヤケを起こす俺。 目指すはアイツ!狙いを定めて容赦なくお湯を浴びせかける。 「ッ…!」 突然の事態に、反射的に顔を背けはしたけれどお湯から逃れることは出来ず、モロにぶち当たる。 「ナイス俺!」 批土岐直撃!俺のアレも洗い流された!なんて無駄に勝利の快感に浸りながら、自信ありげにかっちょよくキメた俺。 「………京灯」 「ッ…!?」 だったが。 「…そうか。まだそんなに元気があるんだ」 「あ゛ッ…いや、元気じゃ、ねえよ?」 お湯をぶっかけてから気付いた俺には、未来はもう残されていないのか。 「ちょっ、待ったひとッ…!」 ちょっとふざけてみただけじゃん★なんてごまかす暇すら与えられず、詰め寄られた時には全てが遅い。 「んッ…!あっ、やめっ…は、あっ!」 ぐいっと引き寄せられたかと思いきや、そのまま批土岐の脇腹を通り過ぎていく俺の上半身。 は!ちょっと待て!下が取り残されてっから!つうか今時尻100叩きとか有り得なッ…… どっちがマシか。

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