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2.ポップサーカス 【6】

「だ、だよなァ!俺も好き好き!」 落ち着け、落ち着きやがれ俺!!と必死に内心で自分に言い聞かせつつ批土岐に笑いかけてみる。 マジひきつってたりとかしてたらどうしよう!!耐えれねえよ!!チョコバナナっすよコノヤロウ!! 俺、健全な男子っすから……そんなん食われたらたまんねえの。ポッ。 「ん?あんまり進んでないね」 批土岐の、主に口元に釘付けになりながら全く食えていなかったリンゴ飴に視線を向けられ俺ギクリ。 「んなことねえって~ちょううめぇリンゴ飴!!」 チョコバナナをそんなエロい仕草で食える奴、俺は初めて見た。 先端を口に含んで、時折チラリと舌を覗かせながら視線を向けられたりしたらもう。 進むか?進んでたまるか!! ヤケになりつつガッツリとリンゴ飴に食いついて、邪な想いよ消えろ!!と顔を俯かせて無心にかぶりついた。 「ふふ、可笑しな奴だな」 「んだよー」 クスりと笑われて、なんだかむしょうに恥ずかしい気持ちになりながらもチラッと批土岐に視線を向けて。 意味もなく顔の温度が上昇していくのが分かる。 マジやべえって、そこで歩いてるガキんちょだって浴衣姿のお姉さんだって食ってんのにッ…!! 「食べたい?」 なんでコイツが食ってるってだけで、こんなにドキュ─ン!!とかしちまうわけ? 「く、食いてえっす」 今確実に、かみ合っていないこの二人。 批土岐の問い掛けに対して、明らかに俺は違う出来事を思い描きながらゴクリと答えていた。 襲いてぇ!でもたぶんまた負ける気がするッ…けど襲いてえ!もしかしたら、今回は上手くいくかもしんねえじゃん?! 負け犬の遠吠え──、いやまだ俺は負けねえ!!!

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