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3.ポップサーカス 【6】

「唇、真っ赤だよ」 「ん?あー、そういや」 けどどうすんの?俺どうすんの?なんて頭ん中では批土岐をどう不意打ちテクで落とそうかと作戦を企てていた時、ふいに言われた言葉にアッと気付く。 さっきに比べてだいぶ小さくなったリンゴ飴、勢いに任せてかぶりついていただけあって俺の唇は真っ赤らしい。ビックリだぜ。 ドド──ッン 「!?おっ!花火始まっ…!」 片手にリンゴ飴を持ったまま歩いて、最後の出店が近づいてきただけあって人も次第にまばらになっていく。 そんな時に、盛大な音が空へと飛び響き渡る。 豪快に壮麗に、散る夜の花。 「──ッ!!!」 一斉に人々が上を向き、始まった花火に釘付けになっている中で。 「誘ってるの?」 素早く顎をグイッと掴まれたかと思えば、微かに触れるだけの短いキス。 「ッ…」 驚きで目を丸くしている俺に、艶っぽく微笑みながら口を開く。 「なっ、おッ…お前なァっ…!」 一瞬の内になにをされたのか、頭が理解した瞬間ボッと火を噴くように熱が増した頬。 幾ら周りが花火に集中してるからってお前!それはねえだろ!大胆だなオイ! 「…場所……考えろよなッ…アホ」 「ごめん、我慢出来なかったから」 「…ッ!!」 がっ我慢出来ねえのは俺も一緒だし! でもまさかこんな所でんなことされるとは思ってもみなかった俺は、激しく動揺しながらとっととココから離れようと足早に歩き出した。 気持ちとしてはお互い様だったっつうのに、いとも容易く行動にうつしてきやがった批土岐。 これが俺に足りない部分か?! こういうテキパキさとかねえと攻めとか無理?!

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