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10.ポップサーカス 【6】

腰いてえ腰いてえ腰いてえ、沸々とその一文ばかりが脳内をグルグルと回り続ける。 何食わぬ顔で、また出店の並ぶ橋の上へと戻ってきた俺たち。 そろそろ、場所を変えるかなんて話しながらフラつく足取りでなんとか活気づく通りを少しずつ抜けていく。 「なあ、批土岐…」 腰いてえよボケ、なんて言ってやろうかとすぐ隣にふと視線を向ける。 「おっ、お前…!!」 「ん?」 どんだけ俺の本能を掻き立てりゃ気が済むんだコイツはっ……!!! 「フ、フランクフルト…」 くらぁっ、と倒れていきそうだ。 ついさっきまでヤッてただけあって、なんかすげえ半端ねえ艶っぽさで…。 「どうした?」 「や、別に……」 これは罠か!!罠なのか!!食べちゃうぞ批土岐ちゃんコノヤロウ!!! 「物欲しそうだな京灯」 「ッ?」 チュ、と先端から離れ、批土岐の笑顔は今夜も有り得ねえ位に綺麗。 「あれだけじゃ、足りなかったか?」 「~ッ!!!?」 ふっと息遣いと共に、耳元に寄られて囁かれ。 口をパクパクさせる俺に対し、批土岐は至って涼しい顔。 「おおおお前なあァッ…!!!」 確実にコレ。 喰われるの俺だって……… 【END】

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