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3.ポップサーカス 【7】
「んっ…ふ!」
そうしたら、見事なまでの急展開に今度は俺のほうが混乱するハメになってしまった。
白昼堂々と言うか、朝もはよから閑静な住宅街のド真ん中でいきなり口を塞がれる俺。
「ハッ、ん…─!」
棘ピじゃなくて良かった、まずなによりも前にそれを気に掛けずにはいられない。
そうだったら確実にブッ刺さってるから、結構痛いんだかんな。や、結構じゃねえか。素で痛いか。
「ひ、ときッ…!イキナリなにすっ…」
「…あ」
「あ、じゃねえって」
爽やかなこの朝にはだいぶ合わない濃厚なチュ─をお見舞いされて、やっとのことで解放された時にはまともに息も出来なかったせいで軽く涙目になっていた。
必死に息継ぎを繰り返しながら批土岐に文句を言ってみれば、自分でも思いがけずだったのかぼんやりとした言葉にガクッと肩が下がる。
「京灯が突然出てくるから」
「おーまーえーなあー」
理由になってねえんだよ、なんて思いつつももうどう言ってやったらいいのか分からなかった俺は指先で批土岐の腕をつついてみる。
「嬉しかったってことだよ」
「そーすかそーすか」
なんで最後にゃ俺のほうが驚いてなきゃならねえのか。
コイツを翻弄することは出来ねえのかぁ!!と、ちょっとは悔しく思ってみたりもする。
「流石にここじゃ、出来ないのが残念だけど」
「あ、それ本気で言ってる?よっく言うぜ、堂々とチュ─奪っておいてよォ」
そして続く批土岐の言葉に、躊躇いもなく朝っぱらから濃厚なキスしてきやがったくせによく言えたもんだぜと少しからかい気味に笑いかける。
そんな俺に対して、極上の笑みを浮かべてから一言。
「そうか、いいのか。俺は別に構わないけど」
「げっっ」
じり、と寄ってきた批土岐に嫌な予感が全身を支配して。
「マジマジうそうそうそうそっ!勘弁しろって!」
「しないよ」
「……ッ!!」
目に見えて焦る俺に、散々慌てる姿を眺めてからしれっとトドメの一撃が。
「……俺で遊ぶんじゃねえ~っ」
クスッと笑う批土岐に、やられた!!と思っても時すでに遅く。
大体お前なっ!から始まった俺のお説教を聞き流しながら、仲良く今朝は学校へと向かうわけでございます。
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