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5.ポップサーカス 【7】
「…は?なんだよコレ」
「…さあ」
『生徒会長選挙のお知らせ』
は………?
会長いんじゃん、ココに。
「…そうくるか」
「批土岐?」
有り得ない内容に半開きになる口、しかもこれ見る限りもうすでに決定事項。
選挙の日時までしっかりと記されたその文面、当日はそれぞれに応援演説者を一人置くらしい。
て、そんなくだんねえことが通るとでも思ってんのか!?
「おはよう、批土岐くん」
なにが一体どうなってやがるのか分からなかった俺、どこから突っ込んだらいいのか頭を悩ませていたところで背後から批土岐を呼ぶ声がした。
「…那月」
振り向いて見れば、目の前でクスクスと楽しそうに笑う野郎の姿。
野郎、と言うには余りにも可憐で可愛いらしくて腕なんてちょっと触ったらポキッと折れてしまうんじゃないかと思える位に華奢な少年がそこに立っていて。
「見てくれた?僕、立候補しちゃったんだ~」
でも、そんな見た目に騙されんな。
「王様気分も終わりだぜ批土岐くん?」
嫌みな笑顔を浮かべながら、ソイツは批土岐に向けて敵意を剥き出しにする。
きっちり着た制服とは裏腹な、この自己中心さ。
教師には分厚く猫を被り、それ以外では本性をさらけ出して勝手気ままに自分の思い通りに事が運ばないと気が済まない。
「僕に刃向かったこと、後悔させてやるよ」
――那月 優。
詳しいことは知らねえけど、父親がどっかのお偉いさんだかでこの学校には多額の寄付金を納めているらしい。
それでなんか勘違いして何様かにでもなったつもりでいる那月、けれど誰も迂闊に手を出すことが出来ない。
奴の機嫌を損ねてしまえば、後々どんな事が待ち受けているか分からないからだ。
教師すらアイツを遠巻きにしか見れないんじゃ、終わってるぜマジ。
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