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30.ポップサーカス 【7】

「つうか~いいんすか~人変わってっし、それになんかさ~優等生のコスプレかなんか?」 「はははは!イキナリ目覚めたとか?」 場内が静まるのを待ちながら、チラチラと自分へと感じる横幾らか離れた位置からの鋭い視線。 そしてそんな時に、壇上までも届く声であからさまに俺へと売られた喧嘩。 「……あの野郎」 取り巻き。 ブッ飛ばしてやりてえとこだけど、生憎今の俺にはそんなこと出来ない。 反応するだけで全てが終わる。黙ってこの場を乗り切るしかないけれど、正直上手く越えられるか自信もなかった。 「副会長は何処行ったんだよ?これってアリなんすかあ?しかもアイツ優等生とかじゃねえし」 「マジ笑えるよな!なんだよアレ!お笑い!?」 ──調子に乗ってんじゃねえぞっ………!!!! ガタアァンッッ 「?!!」 見えないところで拳を握り締め、懸命に立ち昇る怒りをなんとかすんでのところで抑え込んでいた時。 なにかが床に叩き付けられた音、それは盛大に室内隅から隅まで響いて一瞬の内に静まり返るこの場。 「うぜえ」 驚きに包まれる場内の空気を余所に、最後尾で座っていた椅子を手加減ナシに床へと叩き付けた張本人は何食わぬ顔で一言。 肩位まで伸びた綺麗な漆黒の髪、ここからじゃ距離がかなりある為か瞳には小さく映るけれど。 …響ちゃん…… 内心でそう言葉にして、じ~~んとする俺。 昨日といい今日といい、なんか響ちゃんてばいつにも増してかっけえんだけど!!惚れちゃいそう!! 「…ッんだと!やんのかテメエ!!」 感激する俺がハッと我に返って見れば、早い展開に少しの間呆気にとられた後、逆上して立ち上がった取り巻きの中の一人の姿があって。 「コラ!そこ!席に着け!」 叫ぶ教師の怒声も空しく響くだけで、一触即発の緊迫した空気。 「あ゛──!!マジたりい!!なんだっていいじゃねえかよ別に!!」 「…ッ?!」 ああぁどうすりゃいんだよ俺、なんて思いつつも下手に動けば響ちゃんが俺の為にとってくれた行動を無駄にしてしまいそうで板挟み状態。 そしたらまたタイミング良く響く声が一つ、タルそうに響ちゃんのもとへと足を進めながら途中大アクビをかます鮮やかな茶系の短髪野郎。 「細けえこと気にしてんじゃねえよ!!!いつまで経っても進まねえじゃねえか!!とりあえず、うぜえ!!!」 響ちゃんの肩に腕をまわして寄りかかり、対象へと痛烈な一言で締めくくる。 ……峰くん… やべえ、俺ってなんか幸せ者じゃね? もう愛しさの余り二人とも犯してやりたい。 や、抱いてやりたい?

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