130 / 155
3.ポップサーカス 【8】
「んっ…!ハッ…」
強弱をつけて、擦るようにして広がっていくジワりとした甘い痺れ。
批土岐の胸へと押し当てられていた手が拳を作り、着ていた制服をギュッと掴んでしまう。
「ァッ…!見、えちゃうって…そ、こ…っ…ぅあっ」
ハアッ、と荒く乱れていく一方の息は、たっぷりと熱を含んで唇から零れ落ちる。
次第に我慢がきかなくなっていく身体、ビニールと言うなんとも頼りない目隠ししかないこの場。
見えるって、見えちまうって批土岐のバカヤロォッ…
こんなとこ、誰かに見られたらどうすんだっつの…!
『次で最後だよ!アップでキメてね!』
明らかにプリクラなんて撮っていない俺ら、何枚も何枚もきっと封印したくなるようなプリクラが撮れちゃっていることだろう。
「ァッ…はっ、ぅ」
こんなとこ誰かになんて見られてたまるかよ!
そこから覗かれたらマジどうしよう、やべえ、すげえ恥ずかしい俺生きてけねえッ…
頼むから、頼むからっ…
誰も見んなっ!!
「やめろって言う割に、さっきよりも元気になってきたのは気のせい?」
「ハッ、ぁっ…テ、メェなんかっ…き、らいだァっ…」
耳にふっと吐息がかかるだけで身体がビクビクと反応してしまう。
隠れるように批土岐の肩に額を当てて、情欲で溢れた瞳からは涙が頬へと伝い落ちていく。
めちゃくちゃ恥ずかしいじゃんかよッ…
「じゃあ、やめる?」
「ッ……」
ギュッと肩に縋っていた身体、もう熱くなってしまっていただけに批土岐の言葉にハッと息が詰まる。
お前…こんだけやっといて放り出すとかっ…そんなんマジ有り得ねえぞッ…?
冗談とも本気ともとれる言葉、だけどあんだけ嫌がっといて今になってもっとォ!俺をめちゃめちゃにしてぇ!なんてッ…い、言えると思うかコノヤロォッ!
『時間切れだよ!次は落書きコーナーに移動してね!』
「京灯、出ようか」
「ァッ…」
いつの間にかプリクラも勝手に選ばれてしまっていたらしく、こんな状態になってしまった俺を追い出す気満々のプリクラ機。
仕方ねえじゃんかよ!
こうなったのは俺のせいじゃねえよ!
大体アイツがッ…!
ともだちにシェアしよう!