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10.ポップサーカス 【8】

「………………」 「京灯?」 そそくさとゲーセンを後にして、階段にてボッ──と座り込みながら道行く人や車なんかを眺めていた。 あぁ俺、なんつう恥ずかしい男だ…ッ 「余韻に浸ってる?」 「るっせえ~!お前なんかなあ!会長の風上にもおけねえ!!」 たっぷり傷心に浸っていた俺の側へとやって来た批土岐、悪びれもせずポロッと言われた言葉に恥ずかしさも相まって普段の倍キレる。 「へえ、あれだけ好き好き言っといて」 「う゛っ……あ、あれは、なんかの…間違いで…」 批土岐に、俺の攻撃が通じるわけもなく、逆に痛いところを突かれ言葉を濁らせる。 あれは違ぇ、俺が言ったんじゃねえ。 すき焼きとかって言いかけてただけかもしんねえじゃん。 断じて認めねえ。 「まあ、とりあえず」 「?」 「コレ、どうしようか」 イジイジしていたところに、批土岐に差し出されたもの。 見て絶句。 「おあぁぁっ!!抹消!!よこせ!ソレよこせ!」 「よく撮れてるなあ」 「バカヤロォッ!!!見んじゃねえ─っ!!!」 イッヤ─ンなプリクラ、じっくり眺める批土岐の手から取り上げようと必死こきながら、肩へとのしかかり前へと腕を伸ばす。 「よこせコノヤロォッ!!!!!」 「分かった分かった」 「全っ然分かってねえじゃん!!」 プリクラとか…もう、誘ってやんね!! ぐっすん。 【END】

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