7 / 30
7.奪還
アルマをベッドに寝かせたルイスは、溜息を吐いてベッドの端に座る。バスローブを身に纏ったアルマは時折呻いているが、これ以上手の出しようがなかった。少なくともアルマが目を覚ますまで、手の施しようがない。
「……。」
ルイスはアルマの苦しげな寝顔を見ながら、思考を巡らせる。あの触手の魔物は繁殖期に入っていて、催眠魔法でアルマを誘き寄せ、借り腹として繁殖しようとしていた。後孔に触手の侵入した形跡はなかったことから、比較的処置は簡単だ。風呂場で粘液を洗い流し、魔物に飲まされただろう毒に対する解毒の薬を飲ませた。だが、苦しげに呻いている所を見ると、薬の効きが悪いのかもしれない。
「あんなに怒りを覚えたのは、久しぶりだったな。」
ポツリと呟く。触手に凌辱されているアルマを見た時、ルイスが抱いた感情は激しい怒りだった。普段なら適当に痛めつけて手加減するところを、魔物の弱点である核まで叩き割ったのは久しぶりだった。
「……まあ、ボクのものを横取りしようとしたんだから、当然だよね。」
実質、この森の王であるルイスには、森の中に敵となる存在がいない。だからこそ人間が無闇に入って来ないように魔物たちを放置しているし、魔物たちは格上のルイスに手を出してこない。このため、どんな生態をしていようが、ルイス自ら排除することは少なかった。
だが、所有物に手を出されて穏便に済ませられるほど、ルイスは優しくない。思い出したら、また怒りが湧いてきた。再び湧き上がる怒りに顔をしかめていると、アルマがピクンと身体を震わせる。
「う……」
アルマは呻いて、ゆっくりと目を開ける。ルイスは少し驚いたが、すぐに声をかけた。
「目が覚めたかい?」
「こ、こ……は……?」
アルマは覚めきっていない様子ながら、ルイスに場所を尋ねる。ルイスは皮肉を込めて答えた。
「ボクの館だよ。残念ながら、ね。」
「……。」
アルマは特に反応を示すことなく、ルイスに視線を移した。アルマの表情を見ると、まだ毒が抜けきっていないのが見て取れる。ルイスは溜息を吐き、近くの台に置いた瓶を取り出す。中身の水薬を口に含み、自身の唇をアルマのそれと合わせる。
「ん……」
アルマは呆けているが、ルイスは構わず開いていた口の中へと舌を差し入れ、薬を流し込む。アルマが水薬を飲んだのを確認すると、ルイスは唇を離した。そして、そのままアルマから離れようとして、阻まれた。
「……。」
アルマの手が、ルイスの服の裾を掴んでいた。不思議に思い、アルマを見たルイスは内心で驚いた。熱に浮されているのは解るものの、それを上回る色を纏って、縋るようにアルマは見つめてくる。
「あつ……い……たす……け……」
「……。」
ルイスは黙って、アルマの頬に手を添えた。アルマの体温は、毒のせいで熱く感じる。アルマが気持ち良さそうにルイスの手に擦り寄って、譫言の様に呟いた。
「もっと……」
「……。」
そのまま首筋をなで、鎖骨に手を這わせる。黒バラの印に触れ、ルイスはアルマの表情を見た。
「ん……」
嫌がる素振りはなく、寧ろアルマは穏やかな表情を浮かべた。だが、先程の艶めいた表情を思い出し、この表情を崩したくなって、ルイスはアルマの胸へと手を這わせる。
「あ……ふっ……」
乳輪の周りをなぞれば、アルマは小さく声をあげて息を乱す。毒の所為もあるだろうが、アルマは女の子みたいに敏感だ。バスローブを肌蹴させて、ルイスはアルマの胸元に口づけを落とす。そこから舌を這わせ、胸の突起の方へと徐々に近づけていく。
「うぁ……あ……」
色を含んで期待を隠せない声を無視するが如く、焦らす様に乳輪の周りへと舌を這わせていく。アルマは、あ、あ、と小さく声を漏らすが、もどかしげに震えている。
「も……と……」
譫言のように更なる刺激を求めている。それがルイスには分かったが、素直には与えてやらない。乳輪をなぞる様に指や舌を這わせ、胸の尖りには触れないようにする。
「やぁっ……あっ……」
望む快楽が得られないのだろう。アルマは力の入らない手でルイスの髪を掴むが、ルイスは無視する。時間をかけていれば、飲まされた毒が抜けて、薬の作用で眠りにつく。それまでは少し弄んでやろう、という気でいた。
「はあっ……んんっ……」
焦れたアルマは、手を離して身を捩り、動こうとする。ルイスは、舐めるのも触るのも止めて、上体を起こした。縋る体温が離れるのに気付いたアルマは、涙を滲ませて、ルイスを見る。
「やぁ……だ……」
「……。」
ルイスは何も言わない。ただ、ジッとアルマを見ている。見下ろしたアルマの身体は色を纏い、誘っているようだ。
「さわっ……て……」
毒の影響があるにしても、こんなにも淫靡な願いをしたと思い出せば、アルマはしばらく苦しむだろう。ルイスは、血を吸った後の快楽を我慢しようと、もがいているアルマを見るのも面白かった。だが、快楽を欲しがる痴態を思い出し苦しむアルマも、見たいと思った。
「ねえ、どこを触って欲しい……?」
きっと、自分が何を言っているか解っていないのだろう。ルイスが静かに問えば、アルマは熱を孕んだ声を出す。
「む……ね、を……」
ルイスはアルマの胸に触れる。先程と同じ、焦らす触り方をすれば、アルマは強請る様に泣いた。
「ちが……もっと……」
「……。」
意図的にずらしたルイスの指先が胸の尖りを掠めると、ビクンとアルマの身体が跳ねた。
「あ、あ……もっと……」
頭が、働いてないのだろう。拙い言葉で強請るアルマを見ていて、ルイスの気は変わった――快楽に溺れるアルマが見たい。
「ひゃうっ!」
胸の突起を意図して触れば、アルマは大げさなくらい身体を跳ねさせた。指先でカリカリと擦ってやると、アルマは甘い声で震えて、涙を更に滲ませる。
「あ、あ、んんっ、やあぁっ、はぁんっ!」
ルイスはアルマの胸に再び口づけを落とすと、その尖りに吸い付いた。舌で転がすように舐めてやれば、アルマはボロボロと涙をこぼして喘ぐ。
「あうぅっ、ううぅんんっ、やああぁっ!」
もう片方の胸の突起も、摘んで捏ねてやれば、アルマは更に甘い声で啼く。
「ひゃううぅっ、んんっ、やぁっ、ああぁっ!」
胸への刺激でかなり感じているアルマの分身はすっかり立ち上がって、先走りをだらだらとこぼして濡れている。まだ胸への刺激だけでは達せないのだろう。アルマは腰をくねらせて無意識に刺激を求めている。舐めるのを止め、弄っていた胸の突起からつーっと指先で身体のラインをなぞる様に触れていけば、アルマは期待したような甘さで声をあげる。
「あっ、あっ、あ、あっ……」
腰のあたりで指先を離し、アルマ自身に触れた。
「ああぁっ!」
アルマはピクンと震えて喘ぐ。扱いてやれば、更に甘く啼いて震える。
「あっ、あ、あああぁっ、んんっ、やああぁっ!」
そろそろ達しようかという所で、ルイスはアルマ自身の根元を押さえてしまう。もう片方の手で亀頭をなでて刺激し、アルマを快楽で苦しめる。
「ああぁぁんっ、んんっやあぁっ、あうぅっ!」
アルマは頭を振って、強すぎる快楽から逃げようとするが叶わず、ただでさえ鈍くなっていた思考回路が、快楽で溶けていく。
「さあ、どうして欲しい?」
ルイスは色を滲ませた声で静かに言った。
「あ、あ、やぁっ……」
アルマは与えられる刺激にビクビクと震えながら喘ぐ。アルマが自分で考えられない状態になっているのが分かって、ルイスはアルマに刷り込むように耳元で囁いた。
「『イきたい』って言ってごらん……?」
「イきたぁっ……いっ……き、たいっ……」
アルマは喘ぎながらも、ルイスの吹き込んだ言葉を何の抵抗もなしに復唱する。ルイスはアルマ自身の根元を押さえたまま、鈴口をなでてアルマを更に追いつめる。
「やあぁぁっ、イきたぁっ、いやぁっ、ああぁっ!」
そろそろ良いかと、ルイスは根元から手を離し、アルマ自身を扱く。尿口付近もなでて、アルマを快楽の絶頂へと追いつめていく。
「あっ、あ、ああああぁぁっ!」
アルマは達して白い蜜を吐き出したが、責めたててくる手は止まらない。強すぎる快楽にアルマは涙を流したまま、嫌々と頭を振る。
「も、やあぁっ、ああああぁっ、やうぅっ!」
「素直になったんだ……もう一度イきなよ……!」
興奮を隠しきれない声でルイスは笑う。それが聞こえているのかは解らないが、アルマは強すぎる快楽を耐えようと、シーツを強く握りしめている。
「あ、あっ、あああああぁっ!」
ビクビクと痙攣のような震えと当時に、アルマは叫んで達した。吐き出した蜜でアルマの下半身はすっかり濡れていたが、アルマは気にする余裕もなく、荒い息を吐いている。その目はどこも見ていなくて、涙を流していた。
「――。」
ルイスは静かに呪文を唱え、アルマの腹に触れる。精液に濡れた手で、その白い腹が汚れるのに興奮を覚えたが、今はアルマを眠らせることに集中する。
「もう寝なよ。」
そう呟けば、アルマが目を閉じて寝息を立てるまでそう時間はかからなかった。
「やれやれ……もう一度洗ってあげないと。」
ルイスはそう呟くとアルマを横に抱き上げて、風呂場へと運ぶために歩き出した。
ともだちにシェアしよう!