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20.化け物
最初にページを開いた6月6日まで読み進める頃には、日は高く昇っていた。不思議と空腹を忘れていたが、ハッと気がついた頃には、とてもお腹が空いたように感じた。当然だった。昨日は、何も食べていないのだから。
「昨日から……お腹空いたな……」
日記を閉じて再び引き出しにしまうと、部屋を出ることにする。屋敷の中を歩いて行くアルマだったが、調理場へ向かう階段を降りたところで、あることに気がつく。
いつもなら部屋に入ってくるはずのルイスが、まだ来ていない。
「今日は、寝ているのかな……」
思えば、アルマはルイスが寝ている所を見たことがない。彼が眠っているのならば、屋敷から出られるのかもしれないと一瞬考えたものの、森の中の化け物に襲われたことを思い出して身震いする。
ルイスが来てくれなかったら、アルマはどうなっていたのだろう。もしルイスの言った通りなら、アルマは腹の中に卵を産み付けられて――
「っ……」
思わず震えた肩を押さえて、アルマは目を閉じる。
森の中を抜ける方法はまだ見つからない。日記に書かれていたことを考えると、昔ルイスは町の中に住んでいた様だった。日記をつけ始めた頃には、もう既に魔法研究に手を付けていたようで、成功と失敗に一喜一憂する様子が見て取れる。それと同時に、ルイスは戦うことも多かったらしく、どうやって魔物を倒したのかも書かれていた。だが、どれもアルマには真似できない芸当ばかりだ。
まだ館を出る時ではないのだ。アルマは溜息を吐いて、そして空腹で音が鳴った。
「……お腹空いたな。」
アルマは調理場へと歩く。冷蔵庫の中の物を適当に失敬するつもりだった――だが、足を踏み出した瞬間、べちゃり、と何かを踏んだ音がした。
「――ッ!」
アルマは嫌な予感がして、すぐに身を引く。ぐにゃり、としたものが天井から降ってきた。半透明の青いゼリーのような物体が、明らかに意思を持って動いている。
「ば、化け物!? なんで……!」
咄嗟に逃げようと踵を返したが、足が縺れて転んでしまう。慌てて自分の足を見ると、化け物に繋がる半透明の物体が絡みついている。森の中で襲われた時の事が過ぎって、アルマは恐怖から叫んだ。
「来ないで! やっ、やだあぁっ!」
叫び声も空しく、ずるりと床伝いに引っ張られる。恐怖で身体が竦んで動けないアルマは、あっという間に覆い被さってきた化け物の体内に、下半身を取り込まれた。
「ひっ……!」
ぐにゃっ、と化け物の体がアルマを咀嚼するように動く。同時に衣服がバラバラになっていくのに気がついてしまい、アルマは更に恐怖した。
「やだっ……嫌だああぁぁっ!」
胸元辺りまで化け物は這い上がり、徐々に衣服が剝がれていく。そして身体が段々熱くなっていることに気がついて、否が応でも森で襲われた時の事が頭に蘇る。
「はなして……やだあぁっ!」
叫び声も空しく、化け物はアルマの身体に纏わりつき、その胸に吸い付いて、その尖りを摘むような動きをする。軽い催淫状態ではあるものの、アルマの思考と意識はハッキリしている。アルマは、弱弱しいながらも抵抗した。
「やだっ……やめッ……!」
化け物がアルマの口元を覆い、アルマは一瞬呼吸ができなくなる。グニャッと口内に、どろりとした化け物の体が入り込み、慌てたアルマは、思わず噛み千切ってしまう。途端に、甘ったるい液体が、喉の奥に流れていくのに気がついて、アルマは更に焦った。
まずい。
液体を飲み込んでしまった途端、身体が先程よりも更に熱くなる。化け物の体内に取り込まれているアルマの身体が、快楽を拾い始める。いつの間にか、頭は化け物の体内から解放されたものの、首から足までは未だに化け物の体の中だ。化け物はアルマの身体を仰向けにして、その上体を起こす。半透明の物体を通して自分の裸体が見えてしまうことに気がついて、アルマは逃げたくなった。
「や……っ!」
いきなり胸を強く吸われるような感覚がして、アルマはビクリと震える。実際、胸全体が引っ張られているように少し変形しているのが見えて、その卑猥さに顔を赤くして叫んだ。
「やああぁっ!」
叫んでも化け物が止めてくれるわけがなく、平らな胸を弄ぶようにグニグニと揉まれる。胸の尖りにも吸い付かれ、そこから快楽が電流のように走る。自分の胸が、化け物にどう扱われているか見えてしまい、アルマは感じる快楽と悔しさに涙を滲ませて叫ぶ。
「やだっ、んんっ、やめっ……やだぁっ!」
催淫効果と、胸への刺激で起ち上がりつつあるアルマの分身も見えて、アルマは更に顔を赤くした。先走りを滲ませるアルマ自身を吸い上げるように、化け物の体が動く。まるで白い蜜を搾り取ろうという感覚に、アルマは嬌声をあげた。
「あああぁぁっ、いやああぁっ!」
胸も容赦なく吸い上げられて、アルマは甲高い声をあげて絶頂する。
「あああああああぁぁぁっ!」
吐き出される白い蜜を、化け物は咀嚼するようにグニグニと動く。絶頂を迎えて更に敏感になっている身体には、更に強い快楽が走り、アルマはボロボロと泣きながら喘いでいた。
「んあぁっ、あうぅっ、やらあぁっ!」
尿口に何かが入り込もうとする感覚があって、アルマはビクンと震える。思わず自身を見ると、尿口が少し広がっている。咄嗟に、化け物の体が入り込もうとしているのだと悟ってしまう。ありえない展開に、アルマは怯えた。
「やら……やめて……!」
つるんと、細いながらも化け物の体が侵入してくるのを感じる。尿道からジンジンと伝わる未知の感覚と恐怖で、アルマはギュッと目を閉じて叫んだ。
「いやあああああぁぁぁっ!」
尿道内に自身の体液を塗り込むように、化け物の体は中を蹂躙しながらゆっくりと先へ進んでいく。それが余計にアルマの恐怖心を煽って、そして、快楽の混じった未知の感覚が、アルマを苛む。
「やだあああぁぁっ!」
頭を振って逃げようともがくが、化け物の体は逃がしてくれない。まだ胸にも、苛むように刺激が与えられていて、玩具の様に扱われている。
「いやっ、あぁっ、やらっ、ああぁっ!」
与えられる快楽と恐怖で頭の中がぐちゃぐちゃになる。そんなアルマの耳に、ガシャンという音が微かに届いた。そして、聞きなれた声が館の中に響く。
「アルマくん!」
声のした方を見て、いつもの服装に上着を着たルイスがいるのに気がつく。一瞬安堵しそうになるアルマだったが、尿道内の奥へと侵入される感覚に瞠目してビクンと震え、絶叫した。
「いやあああああぁぁぁっ!」
「この……!」
ルイスは怒りを顕わにし、化け物に犯されているアルマの元へと駆け寄る。化け物の体内に取り込まれているアルマの身体へと躊躇うことなく手を伸ばし、その腕を掴んだ。
「ちょっと我慢して、よっ!」
「んあああぁぁっ!」
ビリッと電流が身体に走る感覚がして、アルマは身体を仰け反らせて叫ぶ。同時に、身体を覆っていた化け物の体が剝がれ、アルマは力強い腕に抱き寄せられた。辛うじて五感で読み取れた情報は、身体をきつく抱きしめる腕の感覚と、足元で紫に変色していく化け物の姿。アルマの身体からは、くたりと力が抜けた。ルイスはアルマを抱きしめると、アルマを犯していた化け物を睨みつける。
「色々言いたいことはあるけど、まずは――」
ルイスは上着の中にしまっていたナイフを取り出し――
「消えろ。」
恐ろしくドスの効いた低い声で、怒りのままに化け物の体内へと振り下ろす。化け物の体内の核が砕け、何かが弾ける様な音が響き、化け物の体は液状に溶け、消えた。
「……。」
ルイスは忌々しいものを見る目で、その様子を確認すると、アルマの身体を抱き上げて風呂場へと急いだ。風呂場に辿り着くや否や、自身が濡れるのも構わず、すぐ温かいシャワーを出し、アルマの身体に纏わりつく化け物の体液を洗い流していく。
「あんっ……うぅ……んぅ……」
ルイスの手が体液を取り除くためにアルマの身体をなでていく。その度に、アルマは快楽を拾って小さく甘い声をあげる。やがて、ルイスの手が胸の尖りをなで始めると、アルマはビクビクと震えてルイスに縋り付く。
「あうぅっ、んんっ、ふあぁっ、ああぁっ……」
先ほど化け物が散々弄んでいたせいか、アルマの胸には半固形状にこびりついた体液が纏わりついている。ルイスは苛ついた様に払っていくが、未だ催淫状態のアルマにとっては強い刺激で、嬌声を抑えられない。上半身から粗方体液を洗い流す頃には、アルマの分身がすっかり起ちあがっていて、アルマの思考はもうぐちゃぐちゃだった。
「……一回、イくといい。」
ルイスはアルマの身体を一度床に寝かせると、アルマ自身に手を伸ばして扱きはじめる。敏感な部分に触れられて、アルマはビクビクと震えた。
「ふぁああぁっ、んんっ、んうぅっ……」
尿口に軽く爪を立てられ、アルマは一層身体を震わせ、絶頂を迎える。
「んあああああぁぁぁっ!」
白い蜜を吐き出して、荒く呼吸をするアルマは、涙滲む視界の中、ようやくルイスの顔を見た。
「あ……」
どこか悔しそうで、大切なものを傷つけられた様な表情。アルマの胸が締め付けられる様に痛み、思わず、ルイスに手を伸ばす。だが、アルマの手が届く前に、ルイスがアルマを抱き寄せた。
「……。」
ルイスは、何も言わない。今度は下半身についた体液を払うように、アルマの身体をなで始める。アルマはビクビクと震えながらも、ルイスの身体に身を預けていた。
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