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29.真夜半の愛
丸い月の照らす夜が更けていく。
ルイスは扉の開いた音を聞いた気がして、目を覚ました。だが、眠気が強くて、再び眠りにつこうとする。
「……。」
ギシッと、ベッドの端に何かが乗った音がした。流石に無視はできなくて、ルイスは慌てて目を開けて身を起こす。
「っ……!」
そこにいたのは、アルマだった。それだけでも驚きなのに、アルマはルイスの身体に跨って、その顔を覗き込んでいる。シャツワンピースらしき服装のアルマは一瞬驚いたようだったが、どこか躊躇いがちに目を伏せる。
「だ、ルイスさん……あの……」
躊躇うような、恥ずかしそうな態度。いい子が悪いことをしようとする様な、そんな後ろめたさがアルマから感じられて、ルイスは宥めるようにアルマに笑いかける。
「どうしたんだい、アルマくん。何か、怖い事でもあった?」
「っ……あ、あの……」
そう問えば、一瞬アルマは言葉に詰まったようだったが、おずおずと小さな声で問いかけてきた。
「お腹、空きません……?」
「……?」
一瞬、真意を測りかね、ルイスは首を傾げる。その一方で、アルマは首元のボタンを少しずつ外していく。
「……!」
ルイスが驚いて大人しく行動を見守っていると、アルマは胸元までボタンを外してしまった。そして、肩を露出させ、とても恥ずかしそうにしながらもルイスをジッと見る。
それだけでも、とても甘い毒だ。
それなのに、震える声で一言。
「ぼ、僕を……食べてください……!」
我慢なんて、できるはずがない。
「んっ!」
アルマの頭を捕らえ、唇に食らいつく。その唇を舐めると、何だか甘い味がした。唇を舐められて驚いたアルマが口を開けたのを見計らって、舌を差し入れる。
「んんっ!」
アルマの身体は自然と逃げようとするが、ルイスは許さず、片腕で身体を強く抱き込む。アルマの口内を堪能するが如くルイスの舌が這う。上顎や歯茎の際まで愛撫するように舐め、時折舌を絡ませて、貪るような深いキスをする。
「ふぁ……んん……ふ……」
甘く苦しく深いキスは、アルマに甘い痺れをもたらした。何とか酸素を取り込んではいるものの、ルイスの激しい口づけはアルマから力を奪っていく。
「んぁ……ん……」
アルマは息も絶え絶えに口を吸われ続け、頭がくらくらすると思った頃に、ようやく口を離された。
「はぁ……はぁ……」
離れていく二人の口から、銀の糸が紡がれて、消える。アルマの身体からは力が抜けきっていて、ルイスの逞しい身体にもたれかかった。ルイスの荒い呼吸が聞こえて、ただでさえ早く鼓動を打っていたアルマの心臓は、ルイスにも聞こえるのではないかと言うくらいに、大きく脈を打つ。
「こんな風に、余裕がない……それでも、『食べて』って言うの?」
文字通りに余裕のないルイスの言葉を聞いて、アルマはルイスの身体に縋り付く。
「ぼくを、たべて……」
その言葉を聞いたルイスの逞しい腕が、アルマの身体をかき抱いた。
「できるだけ、優しくする……!」
そう囁かれたかと思うと、首筋を舐められる。ルイスはアルマの首筋を丁寧に舐めて、つぷ、と歯を突き立てた。
「あ……ふ……」
吸血の甘い痺れが、アルマの身体を支配する。想いを傾けた存在にとっては、自身の血が生命の糧になる。それが何だか嬉しくて、快楽に溺れそうになりながらも、アルマはひっそりと笑った。そして、ルイスは飢えが満たされ、身体中に力がみなぎるのを感じる。血を吸い終え、首筋から口を離して、アルマの傷跡を塞いでやる。
「あ……あ……」
アルマは熱く火照る身体を、ルイスに預ける。ルイスはアルマを抱きしめると、ベッドの中に横たわらせた。蕩けた瞳で見つめてくるアルマを見下ろして、ルイスは覆い被さり、掠れた声で囁く。
「これから、君を抱く……いいね。」
「は、い……」
痛いほど早く脈打つ心臓を感じながら、アルマは小さな声で返事をする。それで十分だったらしく、ルイスはアルマの額に軽く口付けた。ルイスの唇が、額から瞼、耳、頬となぞるように触れていく。それだけでも心臓はドキドキと脈を打つ。再び、唇同士がくっつくと、また入りたいと催促する様に舌が唇をつつく。アルマはドキドキしながら薄く唇を開けた。
「んぅ……」
ルイスの舌は再びアルマの口内に入ると、その舌を重点的に絡め取っていく。アルマはゾクゾクとした痺れが身体に走るのを感じた。プチプチと、ルイスがシャツワンピースのボタンを外しているのが分かったが、アルマは無視してルイスの口づけを受け入れ続ける。しばらく、深く絡み合う様な口づけが続いた。ようやく口が離れると、名残惜しげな銀の糸が再び紡がれて、切れる。ルイスが余裕無さそうに少しだけ笑った。
「甘い……」
再びルイスの顔が近づいてくる。今度は耳に吐息が吹きかけられて、ぬるりと舌が這う。
「ひゃっ……んんっ……!」
アルマは、ビクビクと震えてルイスの身体に縋り付く。ルイスは煽られながら、服の下に隠されている素肌に手を這わせた。薄い腹から胸の辺りまで撫で、アルマに囁く。
「君の好きなところ……たっぷり可愛がってあげないとね……」
小さくて弾力のある胸の尖りを、指の腹でなで、摘み、愛撫していく。敏感になっているアルマは、ビクビクと小さく震え、甘く啼いた。
「ふああぁぁぁっ、あああぁぁっ、んんっ!」
甘く震えるアルマを見つつ、舌を首筋、鎖骨へと這わせ、所有印に辿り着く。黒バラを模した印は、アルマを繋ぐ鎖だ。アルマが確かにルイスのものという証だ。この印を使えば、アルマを意のままにできる――だが、今は必要ない。ルイスは軽く所有印に口づけをすると、アルマの胸へと舌を這わせ、愛撫している方の胸の尖りへ、乳輪の辺りまで近づく。軽く爪を立てられ、弾かれて、愛撫を受けるアルマの胸の尖りは赤く熟れて、美味しそうに見えた。
「あああぁぁっ、んんっ、んふっ、ううぅっ!」
アルマは愛撫だけでも、こんなに感じている。舐めてやればどんなに甘く震えてくれるか。早く小さく熟れた果実を食べたくて、軽く摘んでからジュッと強く吸いついた。
「あううぅぅぅっ!」
嬌声をあげ、ビクンとアルマが震える。転がす様に舐め、吸い付き、もう片方も愛撫してやれば、アルマは甘い声で震え、ルイスの頭に手を添える。引き離したいのか、強請っているのか。どちらにしても、アルマは役割の果たせぬ手でルイスの髪をつかむので精一杯だ。
「んんんっ、あああぁぁっ、ひゃうぅぅぅっ!」
アルマの甘い嬌声が、ルイスを興奮させていく。加えて、咄嗟のアルマの仕草がルイスを舞上がらせる。
縋りついてくれる。拒まないでいる。そして、恥ずかしがりながらも求めてくれる。
心の通う交わりが、こんなにも甘く、温かく満たされるものだったなんて!
上辺だけで血の飢えを満たしていた頃とは違って、この交わりは酷く甘美で、心の底から満たされる。
もう片方の胸の尖りに吸い付き、舌で転がして甘噛みをすれば、アルマは僅かに細い腰を揺らす。淫らな仕草にも愛しさを感じて、ルイスは手をするりと腰に這わせていく。
「あああぁぁっ、あんっ!」
アルマは嬌声をあげつつも、腰をなでられて、震えた。逃げようとする腰を両手で捕まえると、ルイスはアルマの胸から口を離して、アルマを見下ろした。
「はぁ……はぁ……」
荒く息を吐いて、涙を滲ませて、淫靡に蕩けた表情が、とても愛おしい。軽く頬に口づけをすれば、アルマは蕩けた顔で笑った。
「ルイスさん……」
愛しい人から甘い声で呼ばれる名が、嬉しい。
「アルマくん……辛くは、ない?」
思わず問いかけた。アルマは、恥ずかしそうに、それでも艶やかな色を滲ませて笑う。
「だいじょうぶ……」
それでも、アルマ自身へと手を這わせるとアルマはビクンと一層大きく震える。まじまじと見れば、先走りが股を濡らし、アルマ自身は腹につくくらいにまで起ちあがっている。アルマが酷く感じて、我慢していたと思えた。いや、未だ直接愛撫されないとイけないのか。
「一回、楽にしてあげる……」
アルマ自身を片手で覆い、ぬるりとした先走りに濡れた、それを扱いていく。
「あ、あっ、あんっ、んんぁっ!」
アルマはビクビクと震え、手に合わせて甘く声をあげる。逃げようとする腰を押さえつけてやれば、一層甘い嬌声をあげて、甘く蕩けた表情を浮かべる。
「ふぁああぁっ、んんっ、ルイスさっ、ああぁっ!」
「っ……」
その蕩けた表情で、思いがけず、名を呼ばれる。それが酷く堪らなくて、ルイスは体勢をずらすと、アルマ自身をパクリと口に含んだ。
「ああああぁぁぁっ!」
ビクンと大きくアルマが震える。だが、未だ達せられないらしい。唾液を滲ませて、先端を舐めてやれば、面白いくらいにビクビクとアルマは身体を跳ねさせる。ジュッとアルマ自身を強く吸い上げてやれば、アルマは大きく甘く甲高い声で叫んだ。
「あああああああぁぁぁぁっ!」
同時にアルマの白い蜜がとびだす。ルイスは、それを口内に受け止めると、何時ぞやと同じくごくりと飲み干した。
「はっ、あ……はぁ……」
アルマは達した余韻で甘く声を漏らし、荒く息を吐く。その艶やかな表情を見つめると、アルマがぽつりと呟く。
「の、飲んじゃっ……た?」
一瞬意味が分からなくて呆けたが、恥ずかしそうに見つめるアルマの表情と、視線の先がルイスの口の端の、白い蜜に向けられていることに気がついて、ルイスは楽しそうに笑った。
「うん、ごちそうさま。」
ついでに口の端の白い蜜を指先で拭って、見せつけるように舌で舐めとる。
「っ……」
ただでさえ羞恥で赤いアルマの顔が、なおも恥ずかしそうに歪むのが堪らない。
「ず、ずる……い……」
アルマが、小さく何か言った。ルイスが首を傾げると、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、はっきりと呟く。
「僕ばっかりじゃ……ルイスさんも……」
それは、酷く甘い誘惑だ。
「ルイスさんも、『気持ちいいこと』、しよ……?」
あまりに淫靡で可愛い誘いに眩暈がしそうで、ルイスはアルマを抱きしめる。
「君って……ホント……イケナイ子だね……」
そう囁くと、アルマは不安げにルイスを見る。
「僕……やっぱり、いやらしい……? 悪い子……?」
蕩けた瞳で不安げに見つめてくる様は、とても艶やかだ。だから、ルイスは色々な衝動をグッと堪えて、安心させるようにアルマの頭をなでながら微笑む。
「子どものままならね。でも、自然とそうなるものだ。君は少しずつ大人になっている。今は、君は大人なんだって、思っておけばいいよ。」
「……!」
アルマは目を見開き、そして、ふにゃり、と笑った。
「大人……ルイスさんと、一緒?」
それがあまりに嬉しそうで、とても可愛い。
「うん、一緒だ……」
ルイスは、再びアルマの唇に口づけを落とす。チュッと分かりやすく音をさせ、軽くアルマの唇を食めば、アルマはピクンと震えながらもルイスの背に手を回す。
「んっ……はぁ……ルイスさん……」
唇を離してやれば、アルマは艶めいた吐息と共に、甘えるようにルイスの名を呼ぶ。それが本当に堪らなくて、ルイスは一度アルマから身を離すと、上半身に纏っていた服を脱ぎ捨てた。
「っ……」
逞しい身体つきの、大人の男。それを意識すると、また、アルマの頬は熱くなる。
「アルマくん……」
アルマを見つめる、金色の双眸は、酷く甘い熱を帯びていて、まるで目の前の獲物を狙う狩人の様で――アルマの身体も、酷く甘い熱を帯びる。
「アルマくん……」
ルイスが、ズボンの前を寛げて、自分の起ちあがっている分身を取り出した。アルマは初めて見るルイス自身に、目を奪われる。
「っ……」
大きくて、アルマのものとは形が違う。まじまじと見ていると、心臓がうるさく鼓動を打つ。
「触ってくれるかい……?」
ルイスの低く色の滲んだ声に誘われるがまま、アルマは恐る恐るルイス自身に触れる。触れると、火傷しそうなほどに熱く感じられて、アルマは慌てて手をひっこめようとした。
「ねえ、解るかい……?」
だが、ルイスの手がそれを許さない。手首をつかまれて、手をひっこめられない。熱くて、硬くて、アルマのそれとは比べ物にならない。ドキドキと心臓が痛いくらいに早鐘を打ち、目はルイス自身に釘付けだった。
「君のせいで、こうなるんだ……」
「僕の、せい……?」
甘く掠れた声で囁かれ、アルマは唾を飲み込む。
「そうだよ。だから、触るだけでいいから、気持ち良くしてくれないかい……?」
そっと、手首を離された。アルマは、おずおずとルイス自身をなでて、自分がするのと同じように、しようとする。だが、ルイス自身は、アルマの小さな手には大きい。アルマがドキドキしながらも、ゆっくりとルイス自身に触れていると、突然ルイスがアルマ自身に触れた。
「ひゃうっ……!」
不意打ちで、緩く立ち上がっていた自身に触れられたことで、甘い声が漏れた。アルマが混乱していると、ルイスの少し意地の悪い声が囁く。
「ねえ……触りあいっこしよう?」
そんなことを言いながらも、ルイスの手は的確にアルマの弱い所を触っていく。
「んんっ、そん、なぁっ、あぁっ!」
アルマは甘く啼いて震えながらも、なんとかルイスを気持ち良くしようと、両手で触れ始めた。
アルマは弱い所を重点的に責められて、ルイスは拙い手つきでも愛しい人に触れられているという事に興奮して、それぞれ絶頂へと近づいていく。
「んくっ、んんんっ、ふぁああぁっ!」
だが、アルマは快楽に翻弄され、途中で手を動かすことすらままならなくなってしまう。ルイス自身から手を離し、甘く啼いて震えるアルマの姿を見て、ルイスは体勢を変えると、自身とアルマの分身をまとめて軽く握った。
「えっ……」
驚いたのはアルマだ。ルイスが何をするのか解らなくて、一瞬呆けたが、ルイスが二人の分身をまとめて扱きはじめたことで、アルマは未体験の感触にビクンと震えた。
「ひゃうっ、あぁっ、んああぁっ、ああぁっ!」
熱くて硬くて、生き物のように脈打つものが、アルマを余計に感じさせる。自分と同じはずなのに、自分とは違うものに、アルマの心臓がうるさいくらいに鼓動を打つ。加えて、想いを傾けた存在の乱れた呼吸が、アルマの身体を熱くさせる。
自分だけじゃない。ルイスも、感じている。見たことのないルイスの表情が、アルマを高めていく。
「ルイスさん、ルイスさっ、んあぁぁっ!」
「アルマくん、アルマくん、アルマくん!」
お互いが愛しくて、名前を呼ぶ。脈打つ自分の分身も、そろそろ限界だった。
「ひ、あああああああぁぁぁっ!」
「くっ……」
先にアルマが達して、その痴態を見たルイスも続いて絶頂を迎える。まとめて扱いていたせいで、吐き出された欲や蜜は全てアルマの腹の上にぶちまけられた。
「あっ……あ……」
アルマが絶頂の余韻に浸りながら、腹の上の欲に触れる。どろりと熱いそれが、ルイスのものだと思うと、どうしようもなくドキドキして、アルマは無意識に、とろんと蕩けた瞳でルイスを見る。
「きもち、よかった……?」
「っ……」
あまりに淫靡な問いかけに、ルイスは再び、自身が熱を取り戻すのを感じる。
「ルイスさん……?」
アルマの、蕩けた瞳に、欲に濡れた身体。あまりに甘い誘惑で、本能のままに動こうとするのを、理性を総動員して、どうにか堪える。
「気持ち良かった……このまま、君を滅茶苦茶にしてしまいそうだ……」
余裕のない、掠れた声。ルイスの手が、欲で濡れているアルマの腹をなでる。そのまま、そのどろりとしたものをすくい取ると、もう片方の手でアルマの脚を広げ、奥まった部分に触れる。
「あ……」
前に一度、ルイスに触れられた事のある部分。ルイスの眼前に自身の恥ずかしい所が曝け出されて、アルマは更に顔を赤くして目を伏せる。
「っ……」
欲が潤滑油代わりになって、つぷ、と奥まった部分から、ルイスの指が侵入していく。ぬるり、とルイスの指が奥まで侵入していくのを感じながら、アルマはひたすら異物感に耐える。慣らす様に、広げる様に、ルイスの指がアルマのナカをなでていく。ある程度ナカが広がったところで、つぷり、とルイスはもう一本指を入れる。
「ん……んっ……ひゃうっ!」
そして、グリッとある部分を押すと、アルマはビクンと大きく震えた。
「ここ、か……」
「んはぁっ、あああぁぁっ、んんんっ!」
弱い部分を何度もグリグリと押される。甘く痺れる電流が、体中に走る。ビクビクと震えながら、アルマは背後のシーツをぎゅっと握りしめる。アルマは酷く感じている。だが、まだ、それで達することはできなさそうだ。三本目の指を入れて、ばらばらとかき混ぜるように指を動かすと、アルマは更に震える。時折、弱い部分も刺激してやれば、淫靡に表情を歪めて甘く啼いた。
「んんんっ、んぁああぁっ、ふぁあぁっ、ああぁっ!」
アルマ自身は再び腹につくくらいまで起ちあがっていた。先走りをだらだらと溢し、腹も股も酷く濡らしている。
「っ……」
そろそろ、ルイスも抑えがきかなくなってきた。
「んぁっ……」
ゆっくりと指を抜いてやれば、アルマは名残惜しそうな声をあげる。弄られたアルマの後孔は、ひくひくと痙攣している。まるで、全身で誘われているような錯覚がして、ルイスは酷く興奮した。
「もう……君の中に、入りたい……」
酷く、余裕のない声だ。それが、強く求められている証だと思えて、アルマは赤く染まった顔で、小さく頷く。
「っ……」
ガシッと腰をつかまれる。熱くて硬いものが、アルマの奥まった場所に当てられ、アルマは早鐘を打つ自分の心臓を感じながら、ギュッと目を閉じた。
「あぅっ……」
ずしり、と重くルイス自身が入ってくる。だが、慣らしはしたものの、大きなルイスが入るには、まだきつくて、アルマは苦しさに息を詰まらせる。
「はぁ……ふ……っ……」
ルイスが徐々に侵入していくものの、アルマは生理的な涙を滲ませて苦しげに呼吸する。苦しげなアルマを見かねて、ルイスはアルマ自身を扱きはじめた。
「ひぁっ、あんっ、んんっ、んはぁっ!」
アルマは苦しげにしながらも嬌声をあげる。ナカが緩んだ隙に、ルイスはずるりと一気に奥まで侵入してしまう。内臓が押し上げられる感覚に、思わず、か細く叫んだ。
「あぁぁっ!」
荒く息を吐いて何とか呼吸を取り戻そうとする。ルイスの手も、アルマに合わせて止まる。荒く息をするアルマを宥めるように、ルイスの大きな手が白く染められたアルマの腹をなでた。
「アルマくん、分かるかい……全部、君の中だ。」
堪えるような、掠れたルイスの声。アルマの手は、自然とルイスの手と重なる。自分と異なる、脈打つものが中にある。それが、想いを傾けた存在と、深く繋がることができたということに思えて、アルマは涙を滲ませながらも、ふにゃり、と笑った。
「ルイスさん……」
あまりに愛しくて、あまりに幸せで、ルイスはアルマにつけた所有印に口づける。
誰にも渡さない――ボクだけの、愛しい人。
「動くよ……」
ずるりとルイスがアルマのナカで動く。内臓を持っていかれそうな感覚に、アルマは苦しげに呻く。
「んうっ……」
そうかと思えば、今度は内臓を押し込まれる感覚がする。内臓をゆっくりかき回すような、抽送の動きに、アルマは呻きながらも耐える。
「んっ……うぅ……」
段々と滑りがよくなってきたのか、徐々にルイスの動きが大きくなっていく。それに合わせて、アルマの漏らす声も大きくなる。
「あっ……ん……う……」
異物が抽送される感覚に耐えて、アルマはルイスの背に手を回す。その瞬間、先程責め立てられた部分をグリッと突かれて、アルマはビクンと大きく身体を跳ねさせた。
「あああぁぁっ!」
甘く漏れた声に、ルイスはギラギラとした双眸でアルマを見つめる。その眼差しを見たアルマは、直感的に思った――ルイスに、食べられる。
「慣らすのは、おしまい……!」
ズンとルイス自身が押し込まれて、その衝撃にアルマはビクンと震える。
「ああぁっ!」
そのまま、断続的に感じる部分を突かれ、アルマは甘く喘いでルイスの背にしがみつく。
「あうっ、んんんっ、んぁあぁっ、ふぁあぁっ!」
甘く喘いで苦しんでいるのに、与えている者に縋ってしまう。そんなアルマの姿が愛しくて、ルイスはアルマの身体を抱く。その身体に腰を打ち付けて、アルマを思うままに染めていく。
「はぁああぁっ、んああぁぁぁっ、んんんっ!」
ルイスとの距離が、とても近い。抱いて、抱きしめられて、アルマの感じる体温は熱い。
生きている。繋がっている。それが喜びを生んで、温かな気持ちが溢れていく。
「はぁ、アルマくん、アルマくん……!」
耳元で余裕なく名前を呼ばれる。それが、ナカを突かれ生まれる、ゾクゾクとした快感を強くする。
限界は、頂は、もう、すぐそこだ。
「はぁっ、ルイスさっ、んんっ、もイっ、たいっ、んんっ!」
甘く切羽詰まった声で、アルマは限界が近い事を告げる。ルイスはアルマを強く抱き込むと、囁く。
「アルマっ……!」
同時に自身を軽くなでられて、アルマは一際甘く甲高い声をあげて絶頂した。
「ああああああああぁぁぁぁっ!」
余りに壮絶な快感で、キュウッとナカのものを締め上げてしまう。熱く硬いルイスの形をはっきりと感じてしまって、アルマは自分が溶けてしまいそうだと思う。
「くっ、出すよ……!」
「あうっ……!」
苦しげな声と共に、一気に中へ熱いものが注ぎ込まれる。たくさんの熱いものがぶちまけられる感覚にアルマは酷く感じて、ビクビクと震えた。
「はぁ……はぁ……」
互いに荒く息を吐き、迎えた絶頂の余韻に浸る。
「あ……」
達した余韻に浸りながら、二人はどちらともなく唇に口づける。それは、先程の行為に比べたら子どものような、拙く軽いものだ。けれども、心が通じた二人には、それが何よりも愛情を伝えるための行為に思える。身体だけではない、心も通じ合った二人には、言葉にできない愛を伝える手段だ。心が、甘く、温かい感情に満ちる。
それは、秘密の、真夜半の愛。
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