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第159話
レヴァンside
待っている時間はすごく長かった。
日も傾いて、ジークとアルフレッドさんは部屋に帰り、ゲートも勉強があるらしく、部屋へ行ってしまった。
「レヴァン、何をしてる」
「ルキアノス···」
「···わかったぞ。ルシウス様の帰りが遅いから拗ねてるんだな」
「······寂しい」
ルシウスに抱き着いて、優しく撫でられたい。
おかえりとだけ伝えて、食事をして、風呂に入って、一日を終わりたい。
「何でまだ帰ってこないの」
「···様子を見てこようか?」
「だめ。そうしたら本当に一人になっちゃう。そばに居て」
「······そういう言葉はルシウス様に伝えろ。誰彼構わずに言うものじゃない。まあ、居てやるがな」
俺の隣に腰掛けたルキアノスは、赤くなった空を眺める。
「お前がここに来て随分経った。···初めは怯えていたが、どこか好奇心もあるように見えて、楽しそうな人間だなと思っていた。」
「楽しそうな人間?」
「ああ。きっと、この邸に何かしらの影響を与えるだろうってな。···案の定、フィオナの人間嫌いは少し改心された。人間ならば全員を敵と見なしていたのに、今ではその人間個人を見るようになった。」
ルキアノスは嬉しそうにそう言って、俺に笑いかける。
「ルシウス様はずっと、お前を欲しいと言っていたが、実際手にしてからは以前よりも表情が豊かになったように思える。それに、アルフレッド様との仲違いも無くなって、ジーク様との関係も良好になった。」
それは全て、お前のお陰だ。
その言葉が嬉しくて、全ての事で、俺が何かをした訳では無いけれど、褒められたのだとわかって自然と口角が上がる。
「レヴァンが、ここに来てくれて良かった。お前がいなきゃ、今もこの邸は暗いままだ。ルシウス様とアルフレッド様はずっと、仲違いをしたままだっただろう。」
「···でも俺は、問題ばかり起こしちゃってるよ。勉強は嫌だし···ルシウスにもアルフレッドさんにも、フィオナさんにも、オスカーさんにも、ルキアノスにも、沢山迷惑をかけてる。」
全部、皆がいなければ成し遂げられなかったことだ。俺が何かをしたわけじゃない。
「いや、お前は気付いていないかもしれないが、その真っ直ぐな心は人の心を動かすことが出来る。そしてそれをお前自身が証明した。それを俺は知ってる。」
ルキアノスは今日は俺をすごく褒めてくれる。暖かい風が吹いて、髪を揺らす。
「さあ、ルシウス様が帰ってくるぞ。」
「えっ?なんでわかったの!?」
「足音が聞こえる。門まで迎えに行くか?」
「行く!」
ルシウスの背中に乗ると、そのまま笑っておぶってくれる。
「おかえりって、伝えるんだ」
「ああ。喜んでくれるだろう。」
二人で門まで行って、ルシウス達を待った。
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