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第164話

しばらく待っていると、部屋に来たのはフィオナさんじゃなくてルシウスだった。 「二人は帰った。」 「そう」 フィオナさん、頼むから早く来て。そう思いながらルシウスの話を聞く。 「さっきは───······」 あ、怒られる。 目をぎゅっと瞑って、次にくる言葉に怯えた。 「よく頑張ったな。突然だったにも関わらず、二人と話をしてくれてありがとう。」 「え······」 目を開けて、キョトンとルシウスを見る。 今、褒められた。 「二人には元々、もしかしたら話は出来ないかもしれないと伝えていたんだ。だから···話してくれて嬉しかった。ありがとう」 「···え、ぁ、な、なに···?怒らないの?」 「怒る?どうしてだ。」 「まともに話しないで、逃げたから···それに俺は許さなかったし···。怒ると思ってた。」 「そんなわけがない!」 ルシウスが大股で俺に近づいてきて、強く抱きしめられる。 「レヴァンは私をなんだと思ってるんだ!そんな冷酷ではないぞ!レヴァンの事を愛してやまないのに、どうして頑張ったレヴァンを怒るんだ!」 「······ごめん」 すごい勢いでそう言われたから、ついつい謝った。 するとルシウスは力を緩めて、顔を近づけてきて、触れるだけのキスをする。 「私はレヴァンを愛している。」 「···うん、そうだね。知ってるよ」 「レヴァンは?私のことを信用していないのか?こんなことで私が怒ると思っているだなんて······」 「あー···俺が不安になってたからかも。ごめんね。愛してるよ、ルシウス」 今度は俺からキスをして、舌を絡めた。なのに主導権はいつの間にかルシウスに移っていて、ソファーに押し倒される。 「ぁ、だ、だめ!今からフィオナさんとおやつを食べるから!」 「···そうなのか。では、夜だな」 「夜···なら、まぁ······」 でも、狂いそうになるくらいに気持ちよくされるのは嫌だなぁ、とルシウスの腕を撫でながら伝えると、低く笑ったルシウスが、俺の鼻をカプっと噛んだ。 「レヴァンが可愛いから、止まらなくなるんだよ」 「困ったな。それじゃあ夜になったら逃げるよ」 「なんだと!?」 ショックという事が表情だけで伝わってくる。思わずそれに笑ってしまって、そっとルシウスの首に腕を回し「嘘」と言っては、もう一度キスをした。

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