165 / 170
第165話
フィオナさんとおやつを食べて、お話をする。
と、言うよりも俺が一方的に話してるだけなんだけど。
「今日の夜ご飯は何かなぁ。」
「もうご飯の話ですか?」
「うん!クリームシチュー食べたいなぁ。柔らかい美味しさが好きなの」
「柔らかい、美味しさ······?ビーフシチューはどんな美味しさなんですか?」
「うーん。刺すまではないけど、柔らかくもないなぁ。」
「······難しいですね」
フィオナさんが困った顔をして笑ったから、伝わりにくいんだなって頭の中で他の言葉を考えたけど、それ以上が湧いて来なかった。
「夜ご飯食べたら、すぐにお風呂入って寝る!」
「はい。たっぷりお休みください。」
「明日はフィオナさんと勉強するんでしょ?簡単なのがいいなあ。」
「そうですね。簡単なものからやりましょう。」
楽しいおやつの時間。
ルシウスは仕事に戻っているから、この部屋には二人きり。
「おやつ食べたらお昼寝する〜」
「太りますよ」
「えっ······やだ。フィオナさん、遊びに行こう?」
「私はこれから仕事があります。ジーク様と遊ばれては?」
「うーん······。じゃあ、そうする。」
生クリームを指で掬ってちゅぱっと食べる。
「行儀が悪い」
「ごめんなさーい」
へへへ、と笑うとフィオナさんは呆れたように溜息を吐いて、けれど俺につられたように少しだけ笑っていた。
ともだちにシェアしよう!