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第5話
儀式を終えてからは早かった。
邸にいた人たちは皆、俺をルシウス様のモノだと認識して"レヴァン様"って呼ぶ。その呼ばれ方は気持ち悪くて慣れない。
そして婚姻の儀を終えて既に1週間が過ぎたけれど、認識をしてくれた人達の中には、俺をルシウスの妻だと認めてくれない人もいる。
その代表といえばフィオナさん。
俺を見るたびに目を細めて嫌な顔をする。でもそれは仕方ないと思う、だって俺は下等な人間だから。
「そうやって自分を卑下するのはよくないな」
「本当のこと」
ベッドに寝転び、枕を両手両足の間に挟み抱きしめる。
ルシウスが俺の顔を困ったように見て、そして頭を撫でた。
ルシウスとの距離はすぐに縮まった、なぜなら彼は俺をとても愛してくれたから。
村が恋しくなって泣いていると泣き止むまでずっと抱きしめてくれる。そして俺が寂しくないようにといつでもそばに居てくれる。
そんな彼を嫌う理由は今の所見当たらない。
「レヴァンは素敵な人間だ、そして私の愛する綺麗な妻だ。そんなレヴァンが自分自身をそういう風に見ていると思うと私は悲しい」
「···ルシウス、キスして」
「ああ」
ルシウスの大きな温かい手が俺の頬を撫でる。同時にキスが降ってきて少しだけもやっとしていた心は晴れていった。
「···どうしたら、認めてくれるんだろう」
「私が話をしても意味がないのは明確だからな。」
ルシウスの方に体を寄せて、彼の膝に頭を乗せる。
うーん、と考えても思いつくことはなくて、とりあえず一度眠ろう。と目を閉じた。
「寝るのか?」
「···うん」
「そうか、おやすみ」
時が経てば、皆、俺を認めてくれるようになるのだろうか。
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