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第11話

「ルシウスのバカ!!嫌いだ!!」 「き、嫌い!?」 ベッドに寝転びながら私を睨み怒鳴るのはレヴァン。 どうやら初めて体を繋げた際に私が待ってやれずレヴァンが尿を漏らしてしまったことに怒っているらしい。目を覚ましてからはずっとこうだ。 「嫌いなど、嘘でも言うな!」 「言う!それに嘘じゃない!嫌いだ!!」 「レヴァン!!」 さすがに最愛の妻に嫌いと言われるのは悲しい。 近寄ろうとすれば「来るな」と怒られてしまい、どうしたものかと困ってしまう。 「私が待たなかったのは悪かった。だがあれはあれで綺麗だったぞ」 「そんなこと聞いてない!人前で漏らすなんて最悪だ!」 「だがそれも気持ちよかった結果だろう」 「──っっ!!もう出て行く!!」 「バカなことを言うな!誰が出すものか!」 そもそも動けないレヴァンが出て行けるわけもないのだが、嫌いと言われショックを受けているとそう言うことも考えつかなくなる。扉の前に仁王立ちになるとレヴァンは顔を赤くして怒鳴った。 「フィオナさんを呼んでよ!彼に出て行くって言ったらすぐに出してくれるだろう!?俺のこと嫌いだし、ちょうどいい!」 「レヴァン、いい加減にしないと怒るぞ」 「怒ればいいだろ!なんで、俺ばっかり···」 突然泣き出したレヴァンに驚いて駆け寄る。 今度は「来るな」と言われなかった。レヴァンを抱きしめて「すまない」と謝ると力の入ってない拳が俺の胸を叩く。 「認めて、くれないし、恥ずかしいし···俺なんて、やっぱり下等な人間だしぃっ」 「お、おい…」 「きっとルシウスに嫌われて、いつか捨てられるんだぁっ!!」 よくわからないことを叫んで泣くレヴァン。 私がレヴァンを嫌って追い出すなんて、あるはずがないことを勝手に想像して泣いている。レヴァンは少しバカだ。 「レヴァン、話を聞け」 「っ、ぅぅ···っく」 「私がレヴァンを嫌うことはない。それに例えレヴァンが私を嫌いになろうとも、ここから追い出す気は微塵もない。だからそうやって泣くな」 「···好き、って、言ってっ」 可愛い願いに笑みが漏れる。 濡れた目元に唇を寄せた。 「好きだ」 「も、っとぉっ」 「好きだ、愛してる」 「お、俺も、ルシウスのこと、好き···っ、愛、してる···!」 泣きながら怒った風にそういったレヴァンに苦笑しながらも内心嬉しくてたまらない。レヴァンがゆっくりと顔を上げてキスをしてくる。ああ可愛い、もっともっとレヴァンが乱れた姿を見てみたい。 そんな欲を押さえつけてふぅ、と息を吐く。 さて、私たちの間は何とか修繕した。いや、それ以上だ。だが大きな問題が残っている。 「フィオナ···」 フィオナの件はきっととっても複雑なものになるだろう。そう思うと少しだけ頭が痛んだ。

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