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第12話

「フィオナ」 「ルシウス様!」 フィオナの尻尾と耳が揺れた。 駆け寄ってきたフィオナに「話がある」と言えば「内容はどういったものです?」と聞かれる。フィオナの腕の中にある洗濯物、どうやらまだ仕事が残っているらしい。 「大切な話だ」 「でしたら、先にこれを終わらせてきてもよろしいですか?何かお飲み物を淹れてゆっくり話しましょう。終わりましたらルシウス様のお部屋にお伺いしても?」 「あー···私の部屋はダメだ」 「···レヴァン様、ですか?」 「ああ、今は眠っているから。···そうだ、お前の部屋に行こう」 いいだろう?とフィオナに向き直るとどこか悔しそうで苦しそうな顔をするフィオナ。体調が悪いのかと思い手を伸ばしてフィオナの額に触れてみるが熱があるわけでもない。 「どこか悪いのか?」 「い、いえ···では私の部屋でお話しいたしましょう!少しだけお待ちください!」 「あ、そんな慌てなくても···」 「すぐに戻ってまいります!」 走って行くフィオナの背中を見てると「あれ、ルシウス様」と低い声が聞こえてくる。振り返るとそこにはルキアノスがいて「何をしてるんですか?」と首を傾げていた。 「いや、フィオナに話をな」 「フィオナに?」 「ああ、レヴァンの事について少し」 「成る程。フィオナはルシウス様のこと兄のように慕っていますから、きっとレヴァン様のことを認めなくないのでしょうね」 「···ああ、だからどうすればいいのかわからなくてな、とりあえず本人と話をしようと思ったんだ」 そう言うとルキアノスがうーん、と唸り「上手くいけばいいですね」と困ったような顔をする。 私も苦笑を零しながら1つ頷いた。 「そういえばレヴァン様は?」 「ああ、無理をさせてしまってな、今は眠っている」 「そうですか···あまり無茶なことしないでくださいよ」 「わかっている」 レヴァンの話をしていると犬の姿をしたフィオナが急いで走ってくる。俺の前で止まり形態を人型に変えてニコニコ笑った。 「終わりました!お話致しましょう!!」 「あ、ああ」 フィオナは自らの胸をトン、と叩き、そしてルキアノスを一瞥してまた俺の目を見た。 「行きましょう、ルシウス様」 「ああ、ではな、ルキアノス」 「はい」 ルキアノスが苦い顔をして一礼をした。

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