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第14話
どれくらい眠ってたんだろう、目を開けたらルシウスが心配そうに俺を見ていた。
「ルシウス···?おはよう」
「ああ、体は何ともないか?」
「あ、ああ、えっと、ちょっと腰とあと···お尻に違和感がある、かも···?」
ベッドに座ってみたけどやっぱりちょっと違和感がある。
恥ずかしいけど正直にそう言うと難しい顔をして「そうか」と一言言って俺の頭を撫でた。
「ルシウス、俺、すごく長い間寝ちゃってた···?」
「いや、それほど長くない。それに···」
「それに?」
言葉を止めたルシウスに同じ言葉を繰り返して続きを促してみるけど口を閉じて黙ってしまった。いそいそとルシウスの目の前に移動して、ジーッと目を見つめる。
「秘密事、嫌い」
「···ああ、話すつもりだ、だがとりあえずは目を冷やそう」
「目?」
「少し腫れている」
そう言って隣に置いていた桶に張った水に布を浸して絞り俺の目にピタッとつける。
「何で、腫れてるのかな」
「···朝、情事の際にたくさん泣いていたからな」
「っ!そ、そういうこと、言わないでよっ」
ルシウスの手から布を奪い取って睨みつけるとクスクスと笑って大きな手が俺の後頭部に回りゆっくり引き寄せられキスを落とされる。
「私の妻はやはり可愛いな」
「···可愛くないよ」
「そうだな、可愛いより美しいの方が似合う」
「···ルシウスの目、腐ってるんじゃない?」
金色にも見える琥珀色をしたルシウスの目を覗き込む。
キラキラしてて綺麗で、美しいのはルシウスの方なのに。
「それに、よくそんな恥ずかしいこと言えるよね」
「言葉にしないと伝わらないだろう」
尤もなことを言われて返す言葉が無くなり、一度縦に頷くとまた引き寄せられてキスをされる。
今度は深いキスで、体がふわふわした感覚になって、そうなることで今朝方の行為を思い出して体が熱くなった。
「レヴァン、聞きたいことがある」
それなのに、今までとは違う声音をしたルシウスが真剣な顔で恐怖すら感じてしまいそうな目で俺を見た。
「何···?」
「レヴァンは、前にいた村の人間から、嫌な仕打ちを受けていたのか?」
「嫌な、仕打ち···?」
色々と記憶を巡ってみるけれど、思い当たる節がありすぎて寧ろそれが普通になっているから、嫌な仕打ちってわけじゃない。
首を横に振ると「本当か?」と疑うように聞かれて少しムッとした。
「嘘はつかないよ」
「すまない。少し心配になってな」
「どうして?俺、寝ている間に寝言でも言ってたの?」
「···いや、何でもないんだ、気にするな」
ルシウスの顔が優しいものに変わる。
うん、やっぱり優しい顔したルシウスが一番好きだし、格好いい。
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