25 / 170

第25話

「外に行きたい!」 「外?」 突然突拍子もなくそう言ったレヴァンは私の近くでモジモジとまるで小さな子供のようにして立っている。 「うん、ずっと邸の中にいるし···」 「ずっと邸の中というのも息が詰まるしな。わかった。ならレヴァンの好きなところに連れて行ってやろう」 「やったぁ!あ!そういえばルシウスは、獅子になれるんだよね?」 「ああ」 獣人は形態を動物型と人型に変えることができる。 私は獅子の獣人であるから、獅子に形を変えることはできるが、それがどうかしたのだろうか。 「獅子の背中、乗りたい。速く走れるの?」 「あ、ああ···それはできるが···」 「ライオンになって」 そう頼まれてライオンの姿に形を変えるとキラキラした目で私を見て鬣に触れて抱きついてくる。 「乗ってもいい?」 グルルルと唸ってそれに返事をすると背中に乗ったレヴァンが楽しそうに笑って「行こう!」と言った。 レヴァンを背中に乗せたまま邸の中を歩くと私が形態を変えてここに居ることに驚いた邸の者が何人も私の名前を呼んで驚きの声を上げる。 「ルシウス様!?」 フィオナも例外でなく、近くに寄ってきて目を見開いていた。 「レヴァン様!ルシウス様から降りなさい!」 「やーだー!」 レヴァンが私に抱きついて離れようとしない。私は嬉しいのだがフィオナは許せないらしく「レヴァン様!」と大きな声を上げた。 「これから外に散歩に行くんだもん」 「···なら、私もついていきます」 「フィオナさんも速く走れるの?」 「私は犬ですよ!走れます!」 「じゃあルシウスと勝負だね」 「望むところです!!」 邸の外に出るとレヴァンは嬉しそうに笑っていた。フィオナは私の顔色を伺うようにジーッと見てきたが別に何とも思っていないので少し微笑んで返した。

ともだちにシェアしよう!