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第32話

一通り挨拶も終わり、キラキラと並ぶ美味しそうなご飯を涎が垂れてないか注意しながらじーっと見つめているとルシウスがクスクスと笑って「食べてもいいぞ」と皿をくれる。 「だが、ほどほどにな」 「全部美味しそう···。いや、いつもみんなが作ってくれてるのもすごく美味しいんだけどね?こういう場所、初めてだから···」 「ああ、実際こういう所の食事は美味しい」 お皿におかずを盛り付けていただきます、と口に入れると幸せな気持ちになった。なんて美味しいんだろう··· 「ルシウスも食べて!」 「私はいい、今はこれをもらっているから」 「お酒···俺はまだお酒を飲める年じゃないから飲めないや」 「確か17だったか?獣人だと17は立派な大人なのだがな」 「同じこと、前に誰かに言われた気がするよ」 確か、ルキアノスにだったかなぁ。 そういえば最近彼に会ってない。 「ルキアノスに最近会わないな···」 「今は私の従兄弟の邸に行ってもらっているからな」 「そうなんだ···どうりで会わないわけだ」 ルシウスと会う前に優しくしてくれたルキアノスと長い間会えないのは少し寂しい。 パーティーも終盤に差し掛かり、先に出ようということでルシウスと一緒に会場を出た。 「ところでレヴァン」 「何?」 「ラビスに何を言われた」 「え、あ···」 言いたくなくて視線をそらすと顎を掬われて頬にキスをされる。 「もし、レヴァンを馬鹿にするようなことを言ったのなら、"俺"はあいつを許してやれない、教えてくれ」 「ルシウス、一人称が"俺"になってるよ。」 「···腹が立つと忘れるときがある」 眉を寄せてそう言ったルシウスに少しだけ笑みが漏れた。 「これは俺の問題だから、解決できないって思ったら、ちゃんと話すよ」 「それではダメだ、レヴァンは1人で溜め込みすぎてしまう所があると思うから。···邸に着いたら聞かせてもらう。話さないというなら話したくなるようにしてやろう」 「···怖い」 「私と2人だけの秘密にするのならいいが、ラビスとの秘密は許さない」 噛み付くようにキスをされる。 いつもは大人なのに、今はすごく子供っぽいルシウスが可愛くてだんだんと激しくなるキスを一生懸命に受け止めた。

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