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第33話
「え、ええっ!」
邸に着いて早々、抱き上げられお風呂に投げるように入れられた。普段は1人でゆっくり入るかルシウスと一緒に入るか、なのに昨日は邸のメイドさん達に体をサッサと洗われて、リラックスタイムなのに全然リラックスできない。
「あの、あ、セシリアさん!」
「はい?」
メイドとして邸で働いている女性のネコ科の獣人、セシリアさんが柔らかく笑って俺の言葉に返事をした。
「今日はどうしてセシリアさん達がいるの?」
「ルシウス様が早くしろと」
「ルシウスは何であんなに怒ってるの!?」
「さあ···私はパーティーには行っておりませんのでわかりません。普段はとても優しいお方です。何か特別気に触ることがあったのでしょう。」
絶対ラビスさんのせいだ!!
そもそもラビスさんとは仲が悪いんだろう、会った瞬間からピリピリしてたし、ラビスさんが来ると知ってたら来なかったって言ってたもんね、何であんなに仲が悪いんだろう···というか、ルシウスだけが一方的に嫌ってるようだけど。
「あの、セシリアさん」
「何でしょう」
「ラビスさんの事、知ってる?」
「ええ、あの人はルシウス様に心酔してます。···もしかしてパーティーでお会いになられたのですか?それならルシウス様が怒っていらっしゃるのも理解できます」
体についた泡を洗い流され、フワフワなタオルで包まれ拭かれる。服を着ようと手を着替えに伸ばせばやんわりとその手を取られてタオルで包まれたままルシウスの待つ部屋に連れて行かれる。
「え!?何で!服!」
「ルシウス様がそのままで、と」
「やだやだ!セシリアさん行かないで!」
「すみません、それも命令なので」
部屋に着くとすぐにセシリアさん達はどこかに行ってしまう。部屋を見渡すとベッドに腰掛けたルシウスが髪を濡らしたまま俺を睨むようにみていた。
「レヴァン、おいで」
「···怖い」
「怖くない、ただレヴァンが話したくなるようにしてやるだけだ」
「やだ···やだっ」
部屋から出ようと扉に手をかけるといつの間にかルシウスが背後に立って俺を強く抱きしめた。
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