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第38話
「君が、悪魔の子って呼ばれて嫌われてるってことは一番にわかったよ。その理由と一緒にね」
「···や、めてください」
「両親を殺した挙句、村人をも殺そうとしたんだろう」
「違います」
「それを5歳の子供がやるとはね。人は見た目で判断できないって本当だね」
「違う!!」
大きな声を上げるとラビスさんはケラケラと笑う。
何が違うの?とでも言うようにその目は笑ってなかったけれど。
「ただでさえ人間がルシウスの隣にいることに腹が立っているのにその人間がそんなやつだってわかって、俺が見逃すと思う?」
「···違うんです、本当に···」
俺の話は聞く気はないようで俺の胸ぐらを掴んで投げるようにベッドに寝かされた。
「そこで大人しくしてろ」
「···ルシウスのところに、帰して」
「だから、ルシウスが来てくれたらね。ルシウスには君のことを全て話してるから」
「っ!」
ぐらっと揺れた気がした。自然と涙が溢れてきてシーツを濡らす。
「まあ、もし俺が大切にしていたものがそんな最悪なものだったらすぐに捨ててしまうけどね」
「···やめて、ください···」
「まあ、ルシウスは優しいから捨てるまではしなくても今まで通りにはいかないだろうね」
隣に寝転んだラビスさんが俺の髪を優しく撫でた。
「この黒髪も嫌われる理由なんだってね」
「············」
「黒髪だからって何がいけないのか俺は全くわからないな。人間って不思議だね」
ラビスさんも黒髪だ、それも俺なんかよりずっと綺麗な黒髪。
「もし俺が人間だったら、君みたいに黒髪だからって嫌われてたのかな」
「······ラビスさんは、そんなことないですよ」
「どうして?」
「···俺は、悪魔の子だったから。黒髪はそのついでです」
「ふぅん···君は可哀想な子だね」
何度もラビスさんの手が俺の髪を撫でた。
ラビスさんは変だ、酷いことを言ってきたと思えばこうやって優しく撫でてくれる。
「寝ていいよ、疲れたでしょう」
「ラビスさんは、優しいのか、そうじゃないのか、わからない」
「俺は優しくないよ。」
そう言ってふんわりと笑った。
確かに、優しくはないのかもしれないな。と思って重たくなってきた瞼に逆らわずに目を閉じた。
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