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第42話
邸に帰ってきてすぐ、レヴァンを風呂に入れた。
固く縄で縛られていた腕は赤く擦れて腫れていて痛々しい。
「レヴァン···」
「···ごめん」
ぽつりと呟くように言ったレヴァンは浴槽に浸かってそう言った。
「傷に沁みるか?」
「ううん、大丈夫だよ」
「そうか。迎えに行くのが遅くなってすまなかった」
「大丈夫」
レヴァンはジーッと俺の目を見て力なく笑った。そんな笑顔、見たくないのに。
「レヴァン、無理して笑うな、その笑顔は見ていて辛い」
「···そっか、ごめんね」
浴槽の中で小さくなって、静かに泣きだす。
そうやって我慢して泣くくらいなら大きな声で子供のようにワンワンと泣けばいい。そうでないと気持ちもすっきりしないだろうから。
「我慢するな」
「···っ、ぅ、ルシウ、ス···」
「ああ、何だ」
「お願い、抱きしめて」
柔くて脆いレヴァンを抱きしめると苦しそうな声が聞こえた。それでも抱きしめ続けるとやっと声を上げて泣き出して少しだけ安心する。
「怖かったな」
「う、うぅ···やめてって、言ったのにっ」
「ああ」
「いやって、言ったのに···ッ」
レヴァンの声が悲しくてこっちまで悲しい気持ちになる。
少しして泣き疲れて眠ってしまったレヴァンを抱え風呂から上がりタオルで包む。
「オスカー、いるか」
「はい」
「レヴァンの傷の手当てを頼む」
「畏まりました」
レヴァンをそのままオスカーに預けて自室で篭っているとフィオナがやってきて温かい茶を目の前に置いてくれる。
「ありがとう」
「いえ」
フィオナが部屋を出て行き1人になるとレヴァンが心配でそわそわとしてしまう。
「···はぁ」
にしても、今回はさすがにラビスに対して怒りを覚えた。どうやって懲らしめてやろう。自然と眉間に皺が寄る。
茶を飲んで空になったカップをコトっと机に置いた。
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