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第43話
「ん···」
「おはよう、レヴァン」
「···ルシウス」
目を開けると優しい顔が俺を覗く。手を伸ばして頰に触れると柔く笑って俺の唇にキスを落とした。
「傷は痛むか?」
「ううん、大丈夫」
本当はチクチクと手が痛むけど、それより下半身の感覚が麻痺してるみたいに鈍くなっている。
「今は···あれ?朝?」
「ああ、帰ってきて風呂に入ってからずっと眠ってた」
「···ルシウスは、聞いたんでしょう?俺のこと」
「聞いた。レヴァンが村でどのように呼ばれていて、どのように暮らしていたのかを」
「嫌いに、なった?」
「嫌いになったのなら迎えにはいかないだろう」
もう一度キスをされて目を合わせる。
キラキラと光を反射させる綺麗なルシウスの金髪が眩しい。
「だが、不思議に思ったことはある」
「···何?」
「どうして村人まで殺そうとしたんだ?···それだけは調べてもわからなかったんだ。誰も口を開かなくてな···」
そう問われて頭の中で浮かぶのは母さんたちの最期の姿。
「話してくれないか?」
「ちゃんと、話すよ」
ルシウスの琥珀色した目をじっと見つめた。
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