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第48話
「落ち着いたか?」
「うん」
オスカーに頼んで用意してもらったカモミールティーを出すと美味しいと言ってコクコクと飲んでいる。
「レヴァン、少し散歩に行くか」
「え、どうして?ここにいるよ」
連れ去られてあんな事をされた恐怖でレヴァンは私のそばから離れようとしない。物を取りたくて少し離れようとするだけでも嫌がる始末だ。
「庭に出るのも嫌か?」
「···嫌だ。だって、怖いもん」
「···そうだな、昨日の今日では急かしすぎた。すまない」
「ううん、俺の方こそ、ごめん」
謝るレヴァンの髪を撫でてキスを落とす。
うっとりとした色気のある表情になったレヴァンにズクンと熱がこみ上げてくる。
「···ルシウス、あの、ルシウスが嫌じゃなかったら、なんだけど···」
「何だ?」
「一緒にいて。あと俺のこと、抱きしめて」
「もちろんだ」
レヴァンの私より随分と小さな体を抱きしめる。
トクトクとレヴァンの鼓動を感じられて安心する。それはレヴァンも同じだったようで目を伏せながら「はぁー···」と長く息を吐いていた。
「好き、この上ないくらい、ルシウスのことが好き」
「ああ、私もだ」
額に唇を落とす。
顔を上げたレヴァンと目があって、どちらともなく引き寄せられるように今度は唇にキスをした。
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