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第53話

ジーッとルシウスをみてると獅子ってこんなに格好良かったっけ?と思うほどに格好いい。 オスカーさんに何かリラックスできる方法は?と聞いてみたら「マッサージなんていかがです?」という返事が返ってきたから寝ているルシウスの肉球を揉んでみた。 「···意外と硬い」 猫は肉球がプニプニしてるから、そうかと思えば違うんだ。新しい発見に胸が高鳴る。しばらく揉んでるとパチっと目を開けたルシウスが違和感に気付いて起き上がる。 「ルシウス?」 「···私はなぜこの姿になってるんだ…?」 「疲れてたんじゃない?お風呂から上がったら獅子になってたよ。ねえねえ、寝転んでよ!」 「あ、ああ」 寝転ばせてマッサージをしていくと気持ちいいみたいで喉を鳴らしてる。猫って確か尻尾の付け根のところをトントンしたら喜ぶんだよね?そこに触るとビクッと震えたルシウス。どうやらルシウスもそうみたい。 「ここ、気持ちいいの?」 「ああ」 尻尾を振って、体をすりすりとしてくるルシウスが可愛くて抱きつくとルシウスも楽しそうに笑う。 「あ!そうだ」 「どうした?」 突然声を上げた俺に驚いて琥珀色の目がジーッと俺を見る。 「獣人は寝る時間が人間より多いって聞いたよ。なのにルシウスは全然寝てないでしょう」 「なんだ、そんなことか」 「そんなことじゃないよ!大切なこと!」 「ちゃんと寝ないとダメだよ」と言うと「わかった」と言いながら顔を頰に擦り付けてきた。 「猛獣使いにでもなった気分だよ」 「ある意味その通りだろう」 「ふふっ」 ルシウスの背中に頭を乗せてゴロンと寝転がる。 今日はルシウスにのんびり過ごしてもらおうと、天井を見ながら思った。

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