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第66話

アルフレッド side ジークが暴れている。 窓ガラスは割れているし、折角ジークが可愛いと言って飾っていた花の花瓶も粉々だ。 地面の落ちた花でさえその足で踏みつけている。 ああ何で、どうしてこうなった。 「ジーク、落ち着け」 「うるさいっ!!」 俺に向かって投げてくるのは枕。 外からは俺たちを心配する召使いの声が聞こえてくる。 「さっきのは全部嘘だ。」 ジークは遂に知ってしまった。 俺が今まで、何とかジークに知られないようにとしていた事実を。 当てつけのように召使い達が俺達の部屋の前で話をしたせいだ。数日間はなんとか誤魔化していたけれど、今日、それが爆発してしまった。 「お前が指示をしたんじゃない。俺が理由も無しにお前の村を潰した。」 錯乱したジークの足は割れたガラスで傷がついて血を流している。早くあの足を手当してやらないと、化膿でもしたらいけない。 「ジーク、大丈夫だ。俺を信じろ」 「ならあいつらは嘘つきだ!!」 「···そうだな。あいつらにはもう二度とお前の前に現れないようにさせる。」 ゆっくりとジークに近付くと泣きながら俺に手を伸ばしてくる。その手を掴みそっと抱きあげるとそのまま俺の首筋に顔を埋めた。 「アル···アル、離れないで、俺から、絶対···っ」 「ああ。ずっと隣にいる」 足の手当より先に落ち着かせてやらないと。 ベッドに腰掛けてジークの髪を撫でる。 「アル···」 「大丈夫だ。ここにいる」 ジークの頬に手を添えると悲しそうに苦しそうに少し笑って、泣き疲れたのかそのまま眠りに落ちた。

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