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第67話

フィオナさんを追うとジーク達のいる部屋についた。 中からはすごい物音が聞こえてくる。それからジークの声に、アルフレッドさんの声。 「フィオナさん!」 「なっ!ついてこられたのですか!?」 「2人は大丈夫なの?」 「わかりません。」 少しの間、他の御使いさん達と部屋の前で待っていると音が止み静かになった。 「大丈夫かな···?」 「兎に角私はルシウス様に報告に行って参ります。」 「俺、ここで待ってる」 フィオナさんが呆れたように息を吐いたのを気付かないふりをする。 御使いさん達もどこかに行って、ついに部屋の前には俺だけになった。 ドアの隣に座り込んで、中から2人が出てくるのを待つ。 しばらく待っているとガチャっと音が鳴ってドアが開き、そこからアルフレッドさんが出てきた。 俺を見て目を見開き驚いているのがわかる。 「お前···」 「ジークは大丈夫なんですか···?」 「お前には関係ない」 「···関係なくは無いです。」 「······そういうのなら、あいつの役に立て」 役に立つ?どうやらアルフレッドさんは少し焦っているようで、とにかく頷いた。 「何をすればいいの」 「ジークの傷の手当をしたい。切り傷によく効く薬とか···ここにはそれがないから、取ってこい」 「わかった!」 また素直に頷いた俺にアルフレッドさんはまた驚いた顔をする。 「待ってて!すぐ取ってくるから!」 「···ああ」 俺は走ってオスカーさんのところに向かう。 彼ならきっと全部どこにあるのかを知っているから。 「あっ!」 廊下を走っているとオスカーさんを見つけて慌てて彼に詰め寄った。オスカーさんは優しい表情を少しビクッと震わせる。 「切り傷に効く薬をちょうだい!」 「どこか怪我をされたのですか?」 「俺じゃなくて、友達が!お願い!」 「わかりました。すぐにご用意します。お待ちください」 オスカーさんの後ろ姿を見ながら、早く早くと何度も心の中で思った。

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